あれから10年-その1
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2019年5月行政監視委員会
関越自動車道高速バス事故から2022年4月29日で10年が経過した。この事故は、運転手の居眠り運転が原因と判明し、業界全体で安全対策を見直すきっかけともなったが、事故発生前にどうにかならなかったのか無念でならない。
総務省は、総務省設置法第6条により、関係行政機関の長に対し、勧告することができる権限を有している。
これを根拠に総務省行政評価局は各種行政評価・監視を行っており、各省庁に対し各種勧告しているものの、勧告を受けた省庁側の腰が重いのが現状である。
総務省行政評価局は「貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」を2010年9月、国交省に対して行っており、勧告事項の一つに、交替運転者の配置指針の見直しがあった。
一般的に総務省行政評価局の勧告が行われた後、フォローアップは2回されることが多いが、この勧告においても例外ではなくフォローアップが行われている。1回目のフォローアップは2011年5月。
国交省から、乗務距離による交替運転者の配置指針についての効果及び問題点等の検討、勉強会の取りまとめが2011年度上期に予定されているため、その結果を踏まえて指針の妥当性を検証し、必要な対応を検討することとしているとの回答があり、一応の取り組みはされていたものの、この間に関越道高速バス事故は発生してしまったのである。
勧告に対する取り組みを加速化させるため、2012年5月、総務省から国交省に対し政務レベルで申し入れを行った後の2012年7月、1日実車距離の上限を原則400キロメートルとする夜間の高速ツアーバスの交替運転者の配置基準が策定された。
総務省行政評価局の勧告を国交省側が深刻に重く受け止め、いち早く対策を講じていれば、との思いは今も拭えない。
近年における行政のさまざまな不当な事案を見るにつけ、総務省行政評価局が行う評価・監視に関しても、総務省統計局が所管する統計行政に関しても、とても重要な行政分野であるにもかかわらず、いわゆる霞が関の文化の中で軽んじられている傾向があるのではないかと思わざるを得ない。
これら総務省行政評価局が重要な勧告を行っても改善が難しい事案もあることを踏まえ、立法府として、行政評価局調査によって把握された行政運営の実態を重く受け止め、勧告が着実に改善措置に結び付いているか注視していくことが行政監視機能を果たしていく上で必要ではないかと思う。
そして、それが事故や事件を防ぐことにつながり、国民の命や暮らしを守ることにつながるのではないだろうか。
だからこそ、立法府として行政監視機能を発揮しなければならないのだが、それも遅々として進まないのが現状である。
参議院においては、2018年6月、参議院改革協議会報告書「参議院における行政監視機能の強化」がとりまとめられたものの、それでも議案の審査を伴わない参議院行政監視委員会の開会は思うようにかなわないままである。
総務省の行政評価局調査の結果やその後の経過を追う質疑のみであっても、上述の事案に照らせば立法府における行政監視機能の発揮として有意であり、国民の代表が集う立法府側がその取り組みを注視しているとなれば、勧告を受けた省庁側の取り組みも従来より進むことだろう。
委員会の場で何度も訴えていることだが、立法府の行政監視機能の発揮に与党とか野党とか本来関係ないはずである。行政が不正・不当な事案を起こしたのであれば、立法府が事実関係をただすこと、それこそが行政監視機能の発揮なのだから。
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