総務委員会(2022年6月10日)
総務委員会で85分間(1時間25分)の質疑に立ちました。
第208回国会(常会)で最後の質疑はずっと所属している総務委員会で電気通信事業法の一部改正案での質疑となりました。
今回の改正の柱は3点ですが、それぞれがまったく別の内容であり、しかも性格の異なる検討会や会議体で議論されており、改正の柱によって対象となる事業者も異なるため、改正内容が非常に分かり辛くなっています。
よって、電気通信事業法の性格や全体像を明らかにすることから質問を組み立てました。
ただ、法案の質疑に入る前に、5月25日に最高裁大法廷において在外国民審査に関する違憲判決が確定しました。民主主義の根幹にかかわる選挙制度において、在外国民審査ができないことは違憲であり、国会による立法不作為も認定された重大な事案であることから、選挙制度を所管する総務委員会において事実確認を行うこととしました。
なぜ、違憲判決に興味関心があるかと言えば、最近、議運理事会において立法不作為に関する上訴の要否等について議論した事案があったこと、これに端を発し質問主意書を二度提出(2021年12月6日、2022年5月18日)していること、このような中の選挙制度(総務委員会所管)に関する違憲判決が確定したことから冒頭に質問を行ったものです。
電気通信事業法の質疑でしたので、ここでこれ以上の詳細は控えますが、積極的には公開されていないけれども公表して何ら問題ない事実を会議録に残せたこともあり、後世に参照される記録になったのではないかと思っていますし、私自身も今後参考にしていきたいと考えています。
違憲判決事案を冒頭に取り上げたことから、憲法第21条2項後段に「通信の秘密」が規定されており、電気通信事業法もこれと大きく関連することから、憲法と事業法の通信の秘密との関係や相違点、事業法における規定ぶりなどについて確認した後、目的規定に触れました。
今回の改正では、目的規定である第一条の「利用者」を「利用者等」に改正するなどの変更点もあります。衆議院段階の質疑ではまったく触れられていませんでしたので、これらについても確認しました。
書き言葉や話し言葉で〇〇等、という表現はよく使われますが、条文で「等」が入ることは大きな意味を持つものであり、確認が必要だと思ったためです。現に電気通信役務の提供を受けている利用者だけではなく、受けようとしている利用者(端的に言えば窓口で検討している方)も「等」として利益の保護を受けるべき利用者として考え方に入れるということですので、たった一文字の「等」であっても大きな意味を持つ改正と言えるでしょう。
また、電気通信事業法は昭和59年制定法であり、日本電信電話株式会社等に関する法律と制定番号も連続しており、制定当初は固定電話中心の法律であったこと、今回の改正は情報通信インフラの進展により多種多様な電気通信事業、メタバースやウェビナーなどが出現していることも確認しました。
制定当初は固定電話中心で、どちらかといえば公社から民営化したNTTのほかに新規参入をいかに促すかを目的とした法律の側面もあった電気通銀事業法ですから、昨今の改正の度に複雑化している側面があることはどのような立場であっても否定できません。
これに対し大臣からは、「変化の激しい情報通信分野に対応してきた結果、法の内容が複雑になってきているとの指摘については真摯に受け止めております」と答弁がありました。
今回の改正内容も、柱の一つずつであればまだしも、対象や検討体制をそれぞれ切り分けて注意深く見ていかないと全体を俯瞰した質疑は難しいのではないかと思いますし、実際、最初に概要を見ただけでは把握し辛かったことも事実です。
また、前回や前々回の同法改正と異なり、政省令委任事項が格段に多いのも本改正の内容を分かり辛くしていると考えられます。
技術的に致し方なく政省令に委任する事項もあれば、念のために置いてある委任事項であるのか、法律を審議する国会の場である程度明らかにするのが筋である、というのが立法府の一員である私の考え方でもありますので、これらについてももちろん確認しました。
総務省令等は、法成立後、様々な検討がなされることになりますが、法制定の時点である程度の想定はなされているはずですし、それを確認する意味が国会質疑にあるはずだからです。
3年前の事業法改正では10か所、2年前は電気通信事業法及びNTT法改正でしたが2本あわせても6か所でした。今回は、政令委任が3か所、省令が53か所というものであり、やはり格段に多いという事実が明らかになりました。
すべてを確認することはできませんでしたが、改正の3本柱にあわせて委任する数と検討場所について確認しました。さらに2年前の法改正で実効が上がっているか疑わしい事項について、執行状況の確認も行いましたが、国会によるチェックは法制定後も行っていきたいと思います。
あとは、改正の柱ごとに対象を明らかにし、改正のポイントについて個別論点を質していく中で、有意義な答弁も得られ、法成立後の施行状況についても注意深く見ていきたいと思います。
今回の質疑は、会期末で議運でもさまざまな動きがある中、質問通告(項目)は相当早く省庁側に伝えました。
若手の行政職の皆さんとのやり取りの中で刺激をもらい、また、委員会質疑も定例日外の金曜午後で持ち時間は1年ぶりの長時間でしたし、色んな意味で印象に残る委員会質疑となりました。
[質疑項目(電気通信事業法の一部を改正する法律案)]
1.在外投票最高裁違憲判決
・平成29年12月5日衆法務委答弁の省内研究会の名称と在外国民審査制度に関し、得た結論
・平成29年12月5日総務副大臣が答弁した研究会報告で国民審査について触れられなかった理由
・国民審査について総務省で検討してきた事実の有無
・国民審査制度の現状に係る政府の認識
・裁判において政府が行った主張の趣旨
・裁判官補足意見に基づく総務省の見解
・在外にとどまらず、形骸化が指摘されている国民審査の在り方全体を見直す必要性
・今後の検討の方向性と結論を得る時期
・国会の立法不作為による損害賠償が認容されたのは2例目だが前回はどの機関が賠償金を支出・負担したのか
・今回の賠償金はどの機関が支出・負担することになるか
・(参院)立法不作為に係る訴訟が受理されてから、上訴、違憲判決が出されるまで、法務省からどのように連絡がくるか
・(参院)連絡を受けて議運や関係部課室にはどう報告、周知しているのか
・(参院)議運では違憲判決を受けてどのように対応しているのか、説明聴取や質疑が行われたことはあるのか
・(参院)国会の立法不作為に係る賠償金は2例目となるが、総務省や衆議院と対応を協議しているのか
2.憲法と通信の秘密
・憲法が定める通信の秘密と事業法4条の通信の秘密との関係、相違点
・現行法における「通信の秘密」と新設しようとする「通信の秘密」の規定数
・保護されるべき「通信の秘密」の範囲
・電気通信事業法の目的規定
・今回改正で、第1条に規定のある「利用者」が「利用者等」に、また第2条で「利用者」の定義が変更される理由
3.電気通信事業法の制定時期とそのサービス
・電気通信事業法の制定過程
・制定当時において対象とされていた電気通信事業、サービス
・今回の改正において対象としている電気通信事業、サービス
4.前回改正時からの経緯
・政府が複数の海外事業者に会社法に基づく登記遵守を要請した事実についての総務省の把握状況
・2年前の法改正に基づく海外事業者の登録状況
・法施行後3年の見直しを待たずに規制の在り方を検討する必要性
5.本改正案の内容
・今回新たに盛り込まれた内容(改正の3本柱)
・今回の改正内容の元となる検討会議の数
・改正内容を大別した3本柱の対象者、対象事業者等
・今回の改正案における政省令委任事項数
・今後の省令に規定する利害関係者の合意形成と利用者保護の在り方。
・法第73条の2第5項「その他総務省令で定める事項」の「その他」に含まれる事項
・運用を続ける中で定着しているものについては法律事項に格上げすることを検討するなど適切な見直しの必要性
6.個別の論点
(個別論点①)ブロードバンドサービスにおける交付金制度創設について
・ブロードバンドにおけるユニバーサルサービスとは何か。電気通信事業法上の基礎的電気通信役務はどのような関係にあるか
・交付金制度を創設に伴う交付金の支援対象として想定される地域はどのような地域か
・原則として一般支援対象区域と特別支援区域に分けるとされているが、特別支援区域とはどのような区域か
・交付金の支援対象区域として想定される町字数
・整備が進んでいない地域、たとえば残された離島数
・交付金による支援の対象者の範囲、数
・現在の電話のユニバーサルサービス制度については加入電話が対象であるが、その交付金の状況
・NTT東西における加入電話の令和3年度の赤字額
・特別支援区域の特性を踏まえ大きな赤字額が出ないようにする支援の在り方
(個別論点②)新たな規律の導入について
・電気通信事業者、登録・届出を要さない「電気通信事業を営む者」であるいわゆる第三号事業者にはどういう者が含まれるか
・今回の規律について、同じ「電気通信事業を営む者」において規律の内容が異なる理由
・今後、規制対象を拡大する可能性の有無
・新たな規律は事業者の大小関係なく、当該規律は幅広く適用される必要性
・情報を保存するサーバ設置国等の公表を義務付けるのか否か
(個別論点③)公正な競争環境の整備
・今回の改正では相対契約が法定化された。相対契約を法定事項にしている他の法律
・今回の改正で新設しようとする相対契約の条文にある「正当な理由」とは何か
6.評価と統計
・本改正案に関する規制の事前評価書で評価の活用について、記載した内容
(規制の事前評価の義務付けの趣旨からすれば、検討会の検討結果を踏まえた内容を評価書に
まとめるのではなく、規制案の検討段階から作成し、検討会の議論の場で活用すべきではないか)
・統計法違反の基準設定について基準を検討する必要性に対する見解
・統計分野における人員体制等を抜本的に見直す必要性
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