総務委員会(2024年3月29日)
総務委員会で35分の質疑に立ちました。
国会承認事項でもあるNHK予算案について、4年ぶりの質疑となりました。
NHKは昨年1月に会長が交代、今年2月に経営委員長が9年ぶりに交代しており、ある意味節目の予算案審議ともなります。また、今回は予算案とともに、3年ごとに見直されるNHK経営計画も4月から次期計画となるため、これらをリンクさせた形で予算案も編成されているため、予算案と経営計画を切っては切り離せない関係性と位置付けた上で、これまでの質疑や経営委員会議事録を活かしながら質疑に臨みました。
まず、予算案と次期経営計画(2024-2026年度)が同日の経営委員会の議事で議決されていることを確認し、相互に密接な関係を持つことを明らかにした上で、予算案全体の課題を取り上げました。
5年前のNHK予算案質疑において、当時の会長は2022年度までは赤字予算が続くものの、2023年度には黒字に転換する見込みである旨答弁していましたのでその確認から始めました。今回の議題である2024年度予算案もそうですが、2023年度予算案も赤字予算だったのです。
途中で状況の変化があったとすれば、それを踏まえた上で責任を持った予算編成をすべきでしょうし、責任ある予算編成をしていた2008(平成20)年の福地元会長の発言を経営委員会議事録から紹介しました。
NHKは予算の中で公共放送として災害時報道等に対応するため、「財政安定のための繰越金」を計上しています。
「財政安定のための繰越金」とは、大規模な災害等による経済状況の急激な変化に対応するほか、設備投資の財源として、減価償却資金など、当年度の自己資金では賄えない場合などに対応するものです。
NHKは、公共放送としてのNHKの財政安定の観点から、適正な水準として確保すべき繰越金として、NHK経営計画(2024-2026年度)における収支の見通しの算定根拠にも「少なくとも500億円程度必要」と明記しています。
しかしながら、来年度末の繰越金の見込みは、244億円となっており、少なくとも500億円必要とされる半額程度しか確保できない状態となっています。今年の元日に能登半島地震が発生し、多くの方がNHKの放送を頼りにしたはずであり、NHK予算案に付す総務大臣の意見として、災害発生時の対応に関する記述を大臣に確認しました。
災害時におけるNHKの役割の重要性を踏まえると、財政安定のための繰越金の確保について精査する必要について指摘した後、インターネット活用業務を必須業務とする改正放送法案と今回の予算案の関係について確認しました。
改正放送法成立前の予算案であることから、このことについての注意書きが付されることとなった経緯が経営委員会の議事録に何も残っていないこと等から、これまで何度も取り上げている経営委員会の議事録の問題につなげました。
来年度予算案とセットで示されている次期経営計画の議論は、議決に直結するとき以外は、意見交換や説明会と称して、「意見交換を行った」としか議事録が残されておらず、10年前の議事録より公表度合いが後退していたのです。
10年前の総務委員会の私の質疑でその提出を求め、参議院総務委員会に提出がかなった経営委員会議事運営規則と4年前の質疑で当時の総務大臣の前向きな答弁の結果、一般への公表がかなった経営委員会議事運営規則の変更点を手掛かりに、次期経営計画で「経営の意思決定プロセスの明確化、透明性向上」を謳うなら、透明性とは逆行する改定がなされた議事運営規則の見直しが必要であることを指摘しました。
経営委員会議事運営規則の議事録の保存等について、10年前と現在の比較は以下のとおりです。
〇経営委員会議事録は、永久保存とする→保存期間は30年とする
〇(新規追加)訂正が必要な個所が発見された場合は、委員長の判断により、速やかにこれを訂正する
永久保存が30年になった理由を尋ねても会社法等を引き合いに出してくるのみであり、また訂正が委員長の判断のみでできることは、作成・公表の際は、委員長のみならず他1名の署名が必要であり、さらには経営委員会で毎回議事録の確認をしていることから、委員長1人の判断で訂正が完結することは議事運営規則上でも整合がとれない状態です。
議事運営規則の改善見直しについて、引き続き提案していきたいと思います。
最後に、3月末までは現行の経営計画が進行中であり、現行の経営計画の5本柱のひとつが人事制尾改革でしたが、現行計画の検証なくして、次期経営計画の展開もありません。現会長は、昨年1月の就任会見時から人事制度に関して見直しを示唆し、2024年3月の会長会見で「人事制度改革の検証と発展」の作業は正しかった旨、発言していましたので、その点について見解を問いました。
次期経営計画では、「NHKは、受信料で成り立つ公共メディアとして、…視聴者・国民のみなさまからの信頼に応える」とされています。信頼に応えうる業務の運営、組織体制の構築をすることができているか、視聴者・国民に対してNHK自らが十分に説明を尽くし、信頼の確保、向上につなげる必要があることを申し上げて、4年ぶりのNHK予算案質疑を終えました。
〔質疑項目(令和6年度NHK予算案)〕
1.NHK予算案と次期経営計画(2024-2026年度)の関係性
2.財政安定のための繰越金の適正額とこれまでの国会答弁との整合性
・黒字に転換するとされていた2023年度予算案の収支
・財政安定のための繰越金の性格
・NHKが考える適正な水準として確保すべき繰越金
・2023年度末と2024年度末の財政安定のための繰越金の見込み
3.改正放送法と来年度予算案との関係
・放送法改正を見込んで計上されている予算
・NHK予算案の国会提出日と放送法改正案の国会提出日
4.経営委員会議事録から見る改正放送法との関係
・経営委員会の議事録にかかる放送法の規定
・非公表にかかる経営委員会議事運営規則の条文
・経営委員会議事運営規則を公表した年月日
・議事録の保存・訂正にかかる変更内容とその理由
・総務省「公共放送ワーキング第2次取りまとめ」における議事録に関する記述
5.現行経営計画(2021-2023年度)と次期経営経営経営計画(2024-2026年度)の関係
・現行経営計画の人事制度改革とその見直し状況
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