行政監視委員会(2019年11月25日)
行政監視委員会で質疑に立ち、40分の質疑に臨みました。
行政監視委員会は、2期目最後の質疑(2019年5月20日)に立った委員会ですが、そもそも本委員会は参議院改革の中で、平成10年に設置された委員会です。
衆議院には、決算行政監視委員会がありますが、参議院は決算委員会とは別に「行政監視委員会」を議会の先人が多くの議論の末に設置したのです。
行政の不当・不適正な活動を国会で質すことに、与野党の別はないはずですし、異論もないはずです。
行政が残念ながら誠実ではない活動をしているのであれば、それを質す場所はまさにこの行政監視委員会のはずですが、第二次現政権になってからの活動実態は低調でした。
とりもなおさず、与党がそれに応じなかったためですが、今年(令和元年2019年)の第25回参院選の前にまとめられた参議院改革協議会報告書に、「行政監視機能の強化」が盛り込まれ、ようやく少しずつ行政監視委員会が動くこととなったのです。
しかしながら、法案を持っている委員会ではないがために、様々な政治情勢や状況に翻弄され、開会に至るプロセスも非常に困難なものでしたし、参議院改革協議会報告書によれば、本来は新たな行政監視サイクルは本会議質疑を起点とするのが筋でしたが、それは叶いませんでした。
しかしながら、臨時会では8年ぶりに質疑を伴う行政監視委員会が開会できたことから、改めて参議院における行政監視機能強化の必要性や行政運営の適正性確保の観点から質疑に立ちました。
詳しくは、会議録をご覧いただければと存じますが、10月1日からスタートした幼保無償化では内閣府令に96か所もの誤りが生じました。
国と自治体との関係上、生じると思われる問題点について質したのち、行政運営適正性確保の観点から公文書管理法と「行政文書の管理に関するガイドライン」の原則を確認しつつ、国会で再三取り上げられている政府行事の行政文書の適正性について官房長官に見解を質していきました。
公文書管理法は第4条で文書主義の原則を定めており、また行政文書の管理に関するガイドラインにおいても、「行政が適正かつ効率的に運営され、国民に説明する責任が全うされるよう、意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡付けや検証に必要となる行政文書については、原則として1年以上の保存期間を定めるものとする。」と定めています。
意思決定が行われた場所には、事業の実績の合理的な跡付けや検証に必要となる文書が残されていなければなりません。
招待者選考の在り方、予算額と実際の執行額の乖離などに疑義が生じており、行政文書等を手がかりとして、意思決定過程や実績を検証し、行政運営の適正性を確保することが求められるはずですので、意思決定を行った場所について官房長官に確認しました。
さらに、招待者名簿は廃棄済みとの答弁が繰り返しなされていますが、財務省の公文書改ざん発覚後に内閣府に設置された公文書監察室がまとめた資料には、日常的な文書であっても、事業の合理的な跡付けや検証のために、1年以上保存であることに留意とあります。
これを踏まえるならば、今年度分まで廃棄したことは公文書管理法や行政文書の管理に関するガイドラインの趣旨に反するのではないか、と見解を質しました。
ほかには、公共調達の在り方について、一般論と原則を財務省と会計検査院に質す中で、予算執行プロセスの適正性確保についても訴えました。
行政活動の目的、活動の内容とプロセス、その効果を国会で検証することで、総務省行政評価局による調査や会計検査院の検査の実施など、行政の自浄作用を相対的に立法府が後押ししていくことも行政監視機能の主翼たる参議院行政監視委員会が担うべき機能であると思います。
来年の常会ではその機能が十全に発揮できるよう、さらに努力を続けてまいります。
[質疑項目]
行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査
1.参議院における行政監視機能強化の必要性[参議院]
・参議院改革のこれまでの経緯と取り組み
・参議院改革協議会における行政監視機能強化に関する報告書と規則改正
2.公文書管理に関する行政評価・監視結果[総務大臣]
・平成29年9月「公文書管理に関する行政評価・監視」改善措置
3.幼保無償化に係る内閣府令の誤り[総務大臣、内閣府]
・幼保無償化に係る内閣府令の誤り総数
・内閣府令誤りの官報正誤と地方議会の条例審議の関係
・内閣府令誤りのある条文を引用して条例制定した自治体の把握
4.行政運営の適正性確保[内閣官房長官、内閣府]
・文書主義の原則とガイドラインにおける保存期間の設定
・公文書管理法・行政文書の管理に関するガイドラインの趣旨と実態
・「行政文書の管理に係る取組の実態把握調査の結果」等との矛盾
5.予算執行プロセスの適正性確保[会計検査院、財務省]
・公共調達における一般論
・会計検査における一般論
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