災害対策特別委員会(2018年11月21日)
災害対策特別委員会で質疑に立ちました。
防災担当大臣の所信的挨拶に対する質疑で、25分の質疑に臨みました。
これまで継続的に行ってきた課題を中心に質疑を組み立て
ましたが、10月30日の参議院本会議での代表質問にて総理に
質問した災害時の情報公表の在り方については、総理答弁を
踏まえ災害対策特別委員会で政府の見解を更に問うべきとの
思いで、最初に質問しました。
1.災害時の情報収集・公表の在り方
防災基本計画では、人的被害については都道府県が一元的に
集約、調整、整理・突合・精査し、広報することを定めています。
にも関わらず、北海道胆振東部地震においては、防災基本計画を
半ば逸脱する形で情報公表を政府が拙速に行ってしまったがために、
二度にわたって訂正する事態となってしまいました。
このため、ただでさえ災害対応に追われている道庁に対し、
正確な情報を求めて問い合わせが相次いだとされています。
防災基本計画が、人的被害について都道府県が一元的に集約し、
広報することになっているのは、近年の災害の教訓を踏まえて
追加されたからです。
先般の本会議の代表質問の際に、総理からは今後は気をつける
旨の答弁がありましたが、災害対策特別委員会の場において、
防災基本計画が一元的に都道府県が公表することとなった経緯や
その意味について明確にすることができ、今後のためにも議論を
重ねて良かったと思います。
2.非常用電源の在り方
情報伝達手段や庁舎の耐震化等が進んだとしても、電源供給が
叶わなくなった際に非常用電源がなければ、それらの機能を
発揮することはできません。そこで、約5年前の質疑から、
非常用電源の在り方について質疑を重ね、なかでも消防庁は
防災行政無線に非常用電源を整備することが望ましいとして
いましたが、では実際にそれが備わっているか把握しているのか
について、約4年前に質疑を行いました。
質疑当時は把握されていませんでしたが、質疑の2か月後には
緊急調査が行われました。これについて事実関係を明らかにした
うえで、3年前から消防庁が行っている業務継続性確保のための
非常用電源に関する調査結果を引いて、現在の課題と問題点に
ついて質疑を行いました。
市町村における非常用電源の整備は進んでいますが、使用可能
時間が72時間である割合は約38%に留まっており、非常に低い
状況です。さらに未整備団体に対し、今後対策する予定があるか、
との問いに対しては、「予定なし」と答えている団体がほとんどで
大きな課題といえます。
消防庁はこれら未整備市町村に対し、燃料供給のための協定を
結ぶなどしてはいかがか、という通知を出していますが、締結
状況を確認はしていないとのことでした。質疑の中で、今後把握
していく、との答弁が得られましたので、現状把握と対策が進む
ことを期待しています。
なぜ72時間か、といえば、内閣府が平成28年に改定した
「大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の
手引き」に、近年の災害教訓を踏まえた見直しとして
「人命救助の観点から重要となる72時間の非常用電源の確保」が
追記されました。
であるならば、非常用電源も72時間稼働しなければ
意味をなさないとの思いで質疑項目として立てました。
3.地方公共団体における防災体制の在り方
これまでの幾度もの質疑を経て、市町村における防災
職員の数は、3割の自治体でゼロ、4割の自治体で
1~4人に留まっていることが明らかになり、では本当に
内閣府防災としてこれで行政需要に応え切れているのか、
適正な配置なのか、について見解を質しましたが、
引き続き機会を見て問うていきたいと思います。
4.災害心理と避難行動の在り方
「正常性バイアス」という言葉を使って、国会質疑をしたのは
私が最初ですが、8月2日の質疑の結果、その後立ち上げられた
「平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関するWG」
の論点に、正常性バイアスが盛り込まれました。
避難することこそが合理的な選択と思えるような施策、そして
地域によってどんな方法が有効であったかを国として情報を収集し、
活用することの重要性について指摘しました。
これからも、国民の生命、身体、財産を守るための取り組みを進めていきます。
[質疑項目]
災害対策樹立に関する調査(大臣所信に対する質疑)
1.災害時の情報収集・公表の在り方[防災担当相、内閣府]
・災害発生直後の第一次情報の収集
・災害時の情報公表の在り方
2.非常用電源の在り方[総務省消防庁]
・非常用電源整備の調査状況
・非常用電源整備状況の調査結果と対応策
3.地方公共団体における防災体制の在り方[内閣府]
・前回(8月2日)答弁を踏まえた政府の対応状況
4.災害心理と避難行動の在り方[内閣府]
・避難行動と正常性バイアスとの関係についての認識
・避難することを選択できる環境を整備する必要性
・避難行動につながる情報公表の事例収集に関する認識
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