第173臨時国会 /国民生活・経済に関する調査会 議事録(2009年11月25日)
○吉川沙織君
民主党の吉川沙織です。
3人の参考人の先生方、今日は本当にありがとうございました。
今日は格差と貧困という観点からお話もございましたし、
私自身も若年者雇用問題に特化していろいろ取組をして
まいりましたので、その観点から幾つかお伺いをさせて
いただきたいと思っています。
今、あらゆる層で格差や貧困が広がっていて、
格差自身は、これまでの政府はなかなかお認めに
ならなかったけれども、格差は実際にあって、
そしてようやく貧困率も明らかになってきたと
いうような状況があります。
その中でも特に若年者、私自身も本院で議席を
いただいている中で今一番若い議員の1人ですけれども、
そういう中で今20代30代、今またその再来と言われて
おります就職氷河期もありますけれども、20代30代、
働いても働いてもなかなか報われにくいワーキングプアと
いうような状況があったり、
あと、20代30代の死因がほかの先進国にはない
自殺が死因の1位となっている、そういうような状況もあります。
また、社会保障の観点からいっても、
国民年金の納付率、実質納付率は、若い世代ほど
やっぱり信頼感がなかなか持てないということもあり、
そしてまた、払いたくても払えない、そういう状況も
あって低いというような状況があります。
私自身、物心が付いて、そして社会に出るとき
右肩上がりの経済社会というものをなかなか
実感できるような、そういう世代では残念ながら
ございませんでした。
そういう中で、私たちが求める幸福とは何かと
いうのを今3人の先生方のお話伺いながら考えていた
んですけれども、なかなか難しいというところがあります。
そこで、阿部参考人と加藤参考人にお伺いいたしたい
んですが、阿部参考人のお話の中で、格差と貧困について
アメリカ独自の自己責任論によって容認している節が
あるという、そういうお話がございました。
日本においても、特に若年者雇用問題は、
社会経済の構造的要因に踏み込まずに、
どちらかといえば若者自身に人間力が欠如しているから、
そして七五三現象に見られるように離職率が
高かったり我慢強くなかったり、本人の問題に
どちらかといえば責任転嫁されているような政策が
これまでは多かったように思います。
そこで、阿部参考人には、その自己責任論、
日本においてはその自己責任論をどこまで問うべきか、
それとも社会構造の問題に切り込む必要がもっと
あるのではないかというその御見解。
そして、加藤参考人におかれましては、冒頭、
学歴による格差という御発言がございました。
これは自己責任ととらえられているのか否かと
いう点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(阿部彩君)
日本でももちろん貧困や生活困難に対しては
自己責任論というのが非常に強かったというふうに
私自身は認識しております。むしろ余りにもそれが
強過ぎて、例えばホームレスの問題が最初に
論じられたときも、あの方たちは好き勝手に
やっているんだろうというようなことが言われましたし、
今、若年者でもおっしゃるとおりのことが言われますし、
母子世帯に関しても好きで離婚をしたんだろうと
いうようなことが言われ続けてきたわけです。
今、ようやくそれが構造的な、社会的な構造的
問題であるんではないかということがようやく
認識され始めかけたかなというようなところで、
私の見解としては、もう自己責任論を超えて、
社会の構造について、社会側の問題についていろいろ
考えて、これからいろいろ手だてを打っていかなければ
いけない時期にやっと到着したなというよう感にじております。
○参考人(加藤智章君)
ありがとうございます。
学歴格差の問題と自己責任との関係ですが、総体的には
所得が低い層が学歴を恵まれないということは恐らくあると
思いますが、それが例えば人種を理由にしているとか
そういうことは、基本的にフランスはそういう差別を非常に
排斥するというか、そういう国ですので、それはありませんが、
しかし、経済力が学歴に反映されるということは、しかもそれが
要するに再生産されるというところは否定できないところだろうと思います。
そういう意味では自己責任と言えるのかどうかちょっと
はっきりしませんが、なかなか競争状態が同じというところでは
ないということはあるんだろうと思います。
○吉川沙織君
ありがとうございました。
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