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2016年3月23日国会質疑録

総務委員会


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高市総務大臣答弁、質疑模様

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3月23日の総務委員会では、地方税・地方交付税法等の
一部を改正する法律案の質疑に臨み、70分の質疑に立ちました。
約1年半に及んだ経済産業委員長の任を終え、総務委員会に
復帰後、これが初の質疑となりました。



主な質疑内容

(1)立法府に対する法案提出の在り方

   1-1. 「束ね法案」と地方交付税法等の一部改正案

(2)地方交付税の別枠加算

   2-1.リーマン・ショック以前の地方税収の水準であるという数的根拠
   2-2.地方団体間での税収の回復度合いに対する見解
   2-3.別枠加算の廃止に対する見解

(3)歳出特別枠に対する見解

   3-1.歳出特別枠の縮減と単独事業費に計上しない理由
   3-2.平成27年度予算編成に向けての地財計画、地方交付税、財政調整基金等の在り方についての見解
   3-3.消防救急デジタル無線の計上理由とコストの整理

(4)平成28年度地財計画と財政審の建議

   4-1.三位一体改革時の議論と現在の施策との整合性
   4-2.財政制度等審議会の建議における一般行政経費の考え方
   4-3.社会保障4経費の積算過程

(5)平成28年度地方交付税に対する見解

   5-1.「赤字地方債」という言葉を用いる理由
   5-2.交付税特会剰余金の活用時期と運用基準、現在の留保額
   5-3.交付税特会剰余金に対する見解
   5-4.トップランナー方式に対する見解

(6)地方税の偏在是正

   6-1.税収格差の是正に対する見解
   6-2.平成24年社会保障と税の一体特委での総理答弁に対する見解
   6-3.税源交換についての所見と今後の対応方針

(7)軽減税率制度導入に伴う地方への影響

   7-1.軽減税率制度導入に伴う地方への影響分の算出根拠
   7-2.減収分の補填に対する見解
   7-3.国が地方への財源補填をするにあたっての考え方



概略

(1)について
  立法府に対する内閣提出法律案の提出の在り方について、総務省の
  見解を問いました。近年、内閣提出法案については、多くの法案を見かけ上
  1本の法律案にして、提出する「束ね法案」が急増しています。
  「束ね法案」の急増に関しては、第190回国会において数度にわたり
  質問主意書を提出して明らかにしたところです。
  今回の、地方交付税法等の一部改正案に関しては、「束ね法案」と
  して提出することが半ば慣例となっていますが、地方交付税の総額
  確保や単位費用の改正を行うための地方交付税法や、特別会計に
  関する法律と、地方債届出制度の拡大や退職手当債の延長を行う
  地方財政法、将来負担比率の算定方法を見直す地方財政健全化法との
  関係、ならびにこれらを束ねることの整合性について問いました。

(2)について
  地財対策を講ずるうえで、地方交付税の別枠加算と地財計画の
  歳出特別枠の継続の是非とが、総務省と財務省との間で論争の
  種となっていました。そのうち、地方交付税の別枠加算について、
  2年前の同法改正時の質疑も踏まえながら、総務省と財務省に見解を質しました。
  地方交付税の別枠加算は、リーマン・ショックに端を発した経済の
  悪化が地方財政にも大きな影響を与えたという状況の下、平成21年度
  地財対策で国の一般会計から地方交付税に1兆円加算されたことに始まります。
  この別枠加算は、財務省からリーマン・ショック後の危機対応モードから
  平時モードの切り替えを行うべきであるとして、常に廃止が唱えられて
  きましたが、平成28年度に廃止となりました。総務省としては、地方税収の
  動向を踏まえて別枠加算を廃止したと説明しているため、リーマン・ショック
  以前の地方税収の水準に戻ったということを具体的に示すよう求めるとともに、
  地方団体間での税収の回復度合いに差についての見解を求めました。

(3)について
  この数年で縮減が諮られてきた歳出特別枠について総務省と
  財務省の見解を質しました。地方側からは、社会保障関係費や
  人口減少対策費といった支出については、そもそも地財計画上の
  一般行政経費で計上すべきであるのに、適切に計上されていない
  ため、歳出特別枠において代替しているという声がある一方、
  財政制度等審議会では、歳出特別枠は、あくまでリーマン・ショック後の
  危機対応措置であり、速やかに廃止すべきとされています。
  歳出特別枠の縮減分の扱いと一般行政経費を増やす場合に
  「重点課題対応分」というカテゴリーをわざわざ作り、通常の一般
  行政経費を増やさないようにしている点について、重点課題対応分に
  分類された消防救急デジタル無線を具体例として見解を問いました。

(4)について
  平成28年度地財計画では、平成27年度に引き続き「まち・ひと・しごと
  創生事業費」が1兆円計上されています。現在政府が進めようとしている
  地方創生や一億総活躍社会において評価されている事業が、平成17年度
  予算編成等に関する建議では、地方交付税による財源保障が適当でない
  事業として、地方団体の単独事業を取り上げ、これらがいかにも無駄である
  とあげつらっているのです。
  現在、その地域が直面している様々な課題に対して危機感を持って対応
  するための取り組みが、かつては交付税削減の口実にされ、現在は先進
  事例となっていることについて、総務省と財務省の見解を質しました。

(5)について
  臨時財政対策債は、地方財政法第5条に基づく建設地方債ではない
  という点で特例的な地方債です。個々の地方団体の財政運営の結果
  として生じた赤字を補填するというニュアンスが出ることを避けるために、
  口頭で説明する際には赤字地方債と言われることはあっても、文書の
  中での表現は避けられてきたのではないか、このことについて総務省に
  見解を質しました。
  また、交付税特会剰余金の活用があれば、臨時財政対策債の発行を
  抑制できるのではないかとの観点から、交付税特会剰余金の活用が
  行われていないのはいつ以来か、活用するか否かの運用基準の有無、
  現在の留保額についても併せて問いました。

(6)について
  地方法人課税の偏在是正は、地方団体が住民生活に必要な
  行政サービスの提供を広く担っていることに鑑みると、税源の
  偏在が小さく、安定的な地方税体系を構築すべきとの考え方は
  理解できるところです。
  しかし、税源が偏在し、税収格差が生じていることが問題視される
  のは、一部の地方団体に税収が過度に集中することによって、他の
  地方団体に必要な税収が集まらず、地方交付税による財源調整を
  行ってもなお、標準的な水準の行政サービスを提供することが困難
  であるという場合ではないでしょうか。
  つまり、地方税と地方交付税によって標準的な水準の行政サービスを
  担うための財源を確保できているのであれば、直ちには税収格差を
  是正すべきとならないのではないかとの観点、さらに4年前の社会
  保障と税の一体改革特別委員会の質疑の際の総理答弁を引用しつつ、
  総務省の見解を改めて質しました。

(7)について
  政府が導入することとしている消費税の軽減税率制度では、消費税収が
  約1兆円減収すると見込まれていると同時に、地方への影響は全体の
  減収の30.8%、3,000億円の減少と説明されています。よって、まず
  これらの数値の算出根拠について問うとともに、減収額1兆円について、
  この穴埋めをするために地方の税財源を利用したり、地方に歳出削減を
  迫ったりすることは含まれていないということについて、総務省と財務省に見解を質しました。
  さらに、国が国の歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることに
  より財源を確保し、これにより地方財政への影響分3,000億円を補填する
  ということを総務省と財務省に確認しました。

議事録一覧

70分の質疑内容について、参議院webページからそのまま引用しています。
大まかな項目ごとに分割してアップさせていただきました。ご覧頂ければ幸いです。