2009年4月6日国会質疑録
決算委員会議事録-6/6
○吉川沙織君
全国瞬時警報システムというのは、消防庁で業務規程第2章
第3条第13号に規定する弾道ミサイル情報というものがございます。
これは、弾道ミサイルに関するどのような情報を指すのでしょうか。
弾道ミサイルが直接我が国をねらったものでないとしても、
弾道ミサイルに関する情報を提供する意味でJアラートの
使用目的にかなうのではないかと思いますが、端的に消防庁、
お願いします。
○政府参考人(幸田雅治君)
御指摘の業務規程は、Jアラートの運用に関する実務的な
事項を定めているというものでございます。今お話ございました
弾道ミサイル情報を住民に提供する場合に、この業務規程の
第8条第4項別表第一によりまして、音声放送の内容として、
ミサイル発射情報、ミサイル発射情報、当地域に着弾する
可能性があります、屋内に避難し、テレビ、ラジオを付けてください、
こういったことを定めているものでございます。
今回、Jアラートのボタンを押すかどうか、これは内閣官房が
判断されるとされているわけでございまして、先ほど櫻井審議官が
答えましたように、今回の北朝鮮による飛翔体事案はこのような
内容の放送すべき事案に当たらないと判断されたと承知しております。
○吉川沙織君
3月26日の総務省事務次官の記者会見概要を拝見すると、
「このJアラートを今回利用するかどうかは内閣官房において
判断されると、こういうことでございます」と発言なさっています。
総務大臣所管の事象でありながら内閣官房に判断を任せて
よかったのか。先ほどの額賀元防衛庁長官の発言も踏まえて、
御感想があれば端的に大臣、お願いします。
○国務大臣(鳩山邦夫君)
私もその疑問を持ったんですけれども、これは消防庁の方で
基本的なシステムをつくってはいますが、やはり官邸発ということで、
ボタン押す押さないは官邸だというふうに説明を受けたので、ちょっと
残念ながらそんなものかなと思っておったところでございます。
○吉川沙織君
先ほどの額賀元長官に関連する新聞記事を見る限り、総務省
消防庁は弾道ミサイル情報を住民に瞬時に伝えて避難を呼びかける
Jアラートの趣旨と違う、国民保護室としているが、今回のような
事態に使わなければ一体いつ使うのかというところが疑問です。
今回の事象に使わなければ、先ほどの質疑でも出ていたように、
テレビ会議システムのケース等、つくっても使わない、こういう道を
たどってしまうということも考えられます。
とある自治体では、Jアラートの使用も前提としてミサイル発射に対する
訓練を何度も繰り返している、そういう県もありました。住民に一刻も早く
何らかの情報を伝達する、こういう手段、でき得る限り、考え得る限りの
手段を使って住民にいろんな情報を伝えるということが政府の役割では
ないかと思います。
しかも、今回の事例、各自治体見ているはずです。今回使わない
となれば、整備に対するインセンティブというのを失わせてしまうという
ことにつながる懸念があります。
更に言えば、今年の3月に入ってからの整備状況を見ると、
一気にこのJアラートの受信環境の整備が進んでいます。
年度末までの整備を予定していた自治体もあると考えられますが、
今回の北朝鮮の報道がなされ始めた時期とも重なります。となれば、
ほかの事業を割いてまで今回に備えた可能性も捨て切れませんし、
なけなしのお金をはたいて整備を進めた自治体の努力と期待を
裏切ったということにもなりかねません。
そこで、今回、内閣官房は4月1日の答弁で、「今回の事象に
つきましては諸般の状況を見ながら判断しておるわけでございまして、
それは、今回の場合はエムネットの方が適切な情報提供ができるもの
というふうに考えているところであります」と御答弁をいただきました。
諸般の状況は、これ、どのような状況のことを指していたんでしょうか。
○政府参考人(櫻井修一君)
そもそもJアラートの方ですけれども、これは弾道ミサイルが
日本を目掛けて撃ってくるという環境下で使用するものであります。
一方、今回の飛翔体の発射に関しましては、通常は、まあ向こうが
衛星と言っているわけですから、通常はそれ以上の距離を飛ぶという
前提で考えておりました。それで、それが仮に日本の領域に落ちてくる
ケースということは、これも官房長官のコメントでも御説明されています
ので詳細は避けますけれども、まずあり得ないことだろうという前提で
ありました。
ということで、情報を発信するには、まずは第一の落下物が落ちた、
あるいは上空を通過した、そういった安心材料の情報を適宜適切に
提供するためにはエムネットの方が適切だというふうに考えたわけ
であります。
○吉川沙織君
十分な答弁とは言い難い状況。
そして、今日、五大紙全部見ましたが、全部ミサイルと書いて
います。これが我が国の領土に落ちてくる可能性があるかも
しれないからこそPAC3を今回配備をされたわけで、エムネットの、
今適切な手段だったとおっしゃいましたけれども、総務省消防庁の
地方公共団体における総合的な危機管理体制の整備に関する
検討会の報告書によると、24時間体制を取っている団体の割合
を見ると、かなり絞られた市レベルですら30%しかありません。
しかも、エムネットの場合はLGWAN上で動くメール配信システム
でしかありませんので、これ警報音が鳴るだけですね、メールが
来ると。となれば、24時間だれかがその端末の前に待機していないと
その情報が伝わらない。しかも、その先の情報は、市町村の防災行政無線
が整備をされていないとまた伝わらないといういろんな問題があります。
今日はいろいろお伺いをさせていただきたかったのですが、
ちょっと時間の関係でまた次の機会に譲りたいと思います。
国民保護の観点に立てば国が責任を持って政策を進めるべき
ですし、防災行政という視点に立てば地方公共団体がその責務を
大きく負うわけですけれども、今回の事案、国民を危険にさらさない、
そのために多額のお金を掛けて整備したシステムですから、これは
今回のような事態に使わないということになれば、最終的に整備に
要した経費が無駄、つまり国民の皆さんからいただいた税金が
無駄ということにもつながりかねませんので、是非、総務大臣、
リーダーシップ取って、総務省消防庁の所管の大臣であられますから、
こういった事案に対応できるよう一層の整備をお願いして、私の質問を
終わらせていただきます。
ありがとうございました。