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2009年4月23日国会質疑録

総務委員会議事録-4/9

○吉川沙織君

次に、第三十五条の五第二項の六に、
「傷病者の受入れに関する消防機関と医療機関との
間の合意を形成するための基準その他傷病者の受入れを
行う医療機関の確保に資する事項」とございます。

消防機関と医療機関の間で合意を形成するために
具体的にはどのような事項を想定されているのか、お伺いいたします。

○政府参考人(岡本保君)

御指摘いただきました三十五条の五第二項第六号は、
その前号までに定めておりますルールに従ってやった場合でも、
速やかに搬送先の医療機関が決まらないような場合に
最終的に傷病者を受け入れる医療機関を確保するということが
必要でございます。

そういたしませんと、先ほど来御指摘ございますように、
現場で救急車が立ち往生するというような事態にもなりますので、
そういうことを避けるために最終的な傷病者を、例えば一時的な
応急をするのか、あるいはだれかが決めるのかといったような
やり方がありますけれども、そのために、じゃどういうふうに
消防機関と医療機関が合意をするかという観点から定めようと
するものでございます。

具体的には、速やかに搬送先の医療機関が決まらないような
場合に、例えば受入れ医療機関の選定を専門のコーディネーターに
ゆだねる、その判断、指示に従って搬送及び受入れを行うというような
ルールをお互いに決めるというようなことも考えられましょうし、

あるいは例えば地域の一定の病院を一時的に、
今ちょっと申し上げましたが、受け入れて応急的な処置を行う、
現場にいるだけでは応急処置も行えませんので、応急処置を行って、
その後の治療はそれぞれの症状に応じた本格的なといいますか、
その担当の転院先の医療機関に移すといったようなルールを定める
といったようなことを考えておりまして、どのようなやり方を行うかは
それぞれ都道府県の地域の事情を考慮して定めていくことになる
のではないかというふうに考えております。

○吉川沙織君

コーディネーターや一時受入れ転院システム、基幹病院に
よる調整ということを具体的にイメージされているんだと思います。

そこで、コーディネーターが担うべき役割というものは
非常に重要になってくると思います。そこで、今回の法改正による
合意形成手段のためのコーディネーターはどのような役割を
担うことになり、具体的にどのような権限を持つことになるのか、
お伺いしたいと思います。

○政府参考人(榮畑潤君)

救急患者の受入れ医療機関の選定を円滑に進めるためには、
救急隊による受入れ医療機関の選定が困難であった事案に
つきまして、地域の事情に精通したお医者さんなどが患者の
症状等を踏まえて受入れ医療機関との調整等を行うことが
重要であると考えております。

このため、厚生労働省といたしましても、平成20年度
予算から、地域の事情に精通したお医者さんなどを救急
患者受入れコーディネーターとして救命救急センターや
消防本部等に配置して、受入れ医療機関との調整等を
進めるということにしておるところでございます。

この救急患者受入れコーディネーターの役割としては、
救急医療機関に積極的に働きかけて、それぞれの受入れ
可否状況等に関する情報を適宜に収集、更新することとか、
救急隊からの依頼を受けて患者の症状等を踏まえて適切な
受入れ医療機関を選定し、受入れに向けた調整を行うこと、
こういうことが主たるものであると考えておるところでございます。
以上でございます。

○吉川沙織君

今役割についてはお答えあったんですが、
権限というものについては明確化されているわけではないんでしょうか。

○政府参考人(榮畑潤君)

この受入れコーディネーターというのは、今申し上げました
役割というのを適切に果たしていただくことがまず大事なこと
だろうと思っておりますが、権限という法律上の位置付けというのが
あるようなものではなく、あくまで救命救急センターとか消防本部等で
配置していただいて調整等を進めていただくというふうな方々だろうと
思っております。

ただ、先ほども申しましたけれども、まさに地域の事情に
精通したお医者さんが当たっていただくことが第一義で
ございますから、そういう点では、このコーディネーターの方々が
調整、指示をされるようなことについては、医療機関との間で
十分その指示が通るということになるものと考えております。

○吉川沙織君

平成20年3月に消防庁が救急業務高度化
推進検討会報告書というものを公表されております。

この中に、消防機関と医療機関の連携に関する作業部会による
検討結果報告が掲載されていて、この中で、早急に講じるべき
対策の一つとして、医療機関選定における消防機関と医療機関の
連携についてとあり、コーディネーターの権限、具体的な業務内容、
コーディネーターと消防機関との連携体制等を明確にしておくことが必要と、

これは平成20年3月に報告されていて、もう1年ちょっとたつんですが、
早急に講じるべき対策とされていましたが、これと今お答えになったのと
ちょっと合わないんですけれども、検討は、どちらでも構わないですけれども、
されましたでしょうか。

○政府参考人(岡本保君)

今厚生労働省の方からお答えございましたような
役割を踏まえて、その役割が全うできるような権限を、
言わばその権限という場合にはどのようにそのことに
医療機関が従うか、あるいは消防機関が従うかということは、
先ほど御指摘先生ございましたような協議会の場において
それは定めていただくということになるわけでございまして、

先ほど申し上げましたように、コーディネーターを置かないと
いう選択肢も、取りあえずは一定のどこかの基幹病院に一時的に
行ってもらう、そこから次の専門的な病院に回すというやり方も
あるわけでございますので、仮にコーディネーターを置く場合に、
そのコーディネーターの我々として担ってほしい役割は、先ほど
榮畑審議官からお話ししたとおりでございますが、どこまで強制的と
いいますか、法的な権限というわけではございませんが、

そこの基準の中で、お互いでそれをどこまでそれに対してやるかと
いうことを決めるということによってその権限は実質的に決まってくると
いうふうにお考えいただければ有り難いと思います。

○吉川沙織君

今いろいろ御答弁いただきましたが、このコーディネーターが
うまく機能しさえすれば非常に有効で役に立つシステムだと
思いますが、今はやはりまだ関西の一部を除いてはなかなか
有効に機能していないところが散見されるのではないかと思います。

ですから、今後コーディネーターを置かれる場合は、
権限の明確化はもちろんですが、どのような人選を行うかと
いうことは大きなポイントであると考えます。

つまり、ベテランの医師や、この人が言うことだったら
その指示に従ってということがやはり重要であると思いますが、
消防庁、いかがですか。

○政府参考人(岡本保君)

全国で幾つかやっていらっしゃるお話をお伺いいたしましても、
今委員御指摘がございましたように、率直に言えば、あの先生が
言うからまあみんな聞いているんですというようなお話も率直に
伺っております。

また、そういう方がおられる場合、みんなが一目置いて
そういうふうに物が決まるということで、おられる場合には
そういうやり方ができましょうし、またその方が引き受けて
いただければできると。

やはりコーディネーター、常に24時間、どのような対応を取るか、
時間的ないろんな制約もございますし、その方にすべて24時間
やっていただけるのか、365日やっていただけるのか、いろいろな
問題もあると思いますし、それから、そういうような人がいないような
場合には、さっき申し上げましたように、しかしコーディネーター制度を
取りたいというような場合には、やはりその協約においていかに
消防機関と医療機関、それがその圏内の全体の意思として
そういうルールをお互いに決めたのだから、そこによって設置された
コーディネーターにみんなできちんと従おう、あるいはそのルールの下で
駄目なものは検証していこうというような、これを努力して守っていくということが
必要なのではないかというふうに思っております。

○吉川沙織君

是非、今答弁いただいたような内容をしっかり吟味して、
ルールを決めて、それで置いたのであればその指示に従って、
救える命を少しでも救うという体制を確立していただきたいと思います。

続きの議事録(5/9)は、こちらです。

議事録一覧

50分の質疑内容について、参議院webページからそのまま引用しています。大まかな項目ごとに分割してアップさせていただきました。ご覧頂ければ幸いです。

  • 議事録1/9
    法律の目的に「救急搬送」の文言が追加された意味
  • 議事録2/9
    協議会の構成メンバーと現場の声の反映方法
  • 議事録3/9
    都道府県の果たすべき役割
  • 議事録4/9
    合意形成の手段としてのコーディネーターの役割と権限、人選基準
  • 議事録5/9
    救急医療情報システム活用に向けた課題
  • 議事録6/9
    実施基準の遵守(消防機関)と尊重努力(医療機関)の違い
  • 議事録7/9
    消防救急無線のデジタル化に伴う課題
  • 議事録8/9
    Jアラートの整備と市町村防災行政無線整備率の実態調査の方向性
  • 議事録9/9
    今後の消防予算の在り方