2010年2月24日国会質疑録
国民生活・経済に関する調査会 議事録1/2
○吉川沙織君
民主党の吉川沙織です。
3人の参考人の先生方、本日、
貴重なお話、本当にありがとうございました。
まず最初にお伺いいたしたいんですが、
草郷参考人と白石参考人にお伺いいたします。
内閣府の国民生活選好度調査をお引きに
なって、生活への満足感、だんだんだんだん
年を追うごとに低下をされているというお話が
ございました。
また、白石参考人のお話の最後には、日本社会の
幸福度は、過去、そして今に至るまでどんどん
低下をしているようなお話。日本は、経済は成長
しながらも生活満足度は低下しているというお話。
そしてまた、希望を持つということが幸福感、
生活への満足感につながるというお話がございました。
そしてまた、失業している人は総じて希望を
持てないとか幸福度が低いというお話がございました。
今、若い世代を中心に失業率が高いというような
状況に残念ながらあります。ですから、お2人の
参考人にまずお伺いいたしたいんですが、生活に
大いに満足しているという人が4%を切っているような中で、
今の日本は幸福をなかなか得にくい社会になっているん
じゃないかと思うんですけれども、それについて御所見だけ
草郷参考人と白石参考人にお伺いいたしたいと思います。
○参考人(草郷孝好君)
御質問ありがとうございます。
確かに国民生活選好度調査の経年のグラフを
見ておりますと、生活に満足をしているという
割合は減ってきております。
ただ、その要因というものがどのようなものなのか
というものはやはりきちんと精査する必要があると
思っていまして、一つは先ほど白石先生も触れました
けれども、やはり幸福というものをどういう基準で
測るのかということが、例えば30年前、40年前に
比べれば変わってきているのは確かだと思うんですね。
基本的な生活が満足まだ十分にされていない
段階における幸福感の取り方と、それからすべての
物が手に入るようになった今の社会で生活する人の
満足度の取り方というものは必ずしも同じではないと
思いますし、言わばお隣さんが良くなれば自分も良く
なりたいという上昇志向の中で自分の価値観という
ものが決定されていくようなことが多いのであれば、
4%という水準、これはかなり低いとは思うんですけれども、
そういうことも否めなかったのかもしれません。
ただ、どのようにしてその生活の満足度あるいは
幸福感等を評価するのか、精査するのかということも、
実は是非また私自身も考えていかなきゃいけないと
思っていますし、その幸福という言葉ですね、幸福と
いうものによって、皆さんが答えられる際にどういうものを
イメージされるのかということについて、やっぱりきちんと
慎重な姿勢でそれを分析していかないといけないと。
つまり、ちょっと回りくどい言い方ですけれども、
データそのものが、主観的なデータの持っている
良さと、それからデメリットといいますか、そういった
ものがありますので、一概に4%になったからといって、
それでこの社会は非常に閉塞感にあふれていて
問題なのだというふうには、僕はそういうふうには
思っていません。
○参考人(白石小百合君)
御質問は、幸福のパラドックスはなぜなのかと
いうことかと思います。それで、先ほども少しお話を
したんですけれども、やはり、相対所得といいまして、
自分の絶対額ではなくて周りの人と比べて、自分が
どれだけ所得であればもらっているのか、生活の水準で
あればほかの人と比べてうちには車があるのか、
車であればその種類は何なのか、それをほかと
比べるということがありまして、生活水準、国全体で
上がってくればそうした相対的なレベルというのも
上がってくるので、なかなか経済は成長しても生活
満足度は上がってこないというのは一つの説明だと
思っています。
それからもう一つは、価値観が多様化していると。
非常に戦後日本が、高度成長時期というのは、
所得が昨日よりも上がれば幸せになる、生活も
満足するという気持ちが高まるということなんですが、
それがだんだん所得、生活の水準が上がってくると、
所得とか生活の水準以外の価値観というものも生活の
満足あるいは幸福感というものに影響を与えてくると。
ですので、価値観が多様化してきたので生活満足度も
上がらないのではないか、あるいは幸福度も横ばいでは
ないかというのが一つの説明ではありますが、これは私の
個人的な意見なんですけれども、価値観が多様化したから
生活満足度あるいは幸福度が上がらないのは仕方がない
んではないかと考えるのは、やはり個人的には少しおかしい
ことだというふうに思っておりまして、
だから、生活満足度が高まらなくてもいいと考えずに、
では、今の状況で人々がもっと幸せに、あるいは生活に
満足するようにするにはどういったことが必要なんだと
いうことを考えていくべきではないかというふうに個人的には
思っております。
○吉川沙織君
ありがとうございました。
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