2011年5月17日国会質疑録
総務委員会 議事録2/4
○吉川沙織君
そこで、消防費の在り方について質問させていただきます。
市町村消防費に占める国の補助金の割合、
改めて数字で確認をいたしますと、僅か1%
程度にすぎません。年度によってもこれは
そう変わるものではありません。
このことに関しても野党時代からずっと取り
上げてまいりました。しかし、この僅かな
補助金でも、国民の生命、身体を守る上では
非常に大きな役割を果たしてきたはずであると
思います。しかし、それすらも三位一体の改革を
発端として削減され続けてきています。
これで国の責任を果たしていると言える
のか、今改めて問われていると思います。
この点に関連して、片山大臣、
3月24日の当委員会において、
「今までいろんな財政の改革の中でこの消防の
予算というのは少しずつ切り詰められてきた傾向が
あることはもう否めないわけですけれども、いま一度
やはりこの重要性というものを再評価をして、総務省と
して今後この分野での予算などの充実に努めて
まいりたいと思っております。」と答弁されています。
確かに、一次補正では消防防災関係の予算が
621億円計上されていますが、このほとんどは
今般の震災の災害復旧によるものであるため、
今後想定される災害に備えた体制の構築を推進
するためには、例えば二次補正、それから毎年度の
予算でしっかりと措置していく必要があると思います。
その際、有するべき視点として、これまではどっちか
といえばハードに偏ってきた嫌いがある防災対策ですが、
ソフト事業にももっと目を向けていくべきだと思います。
社会資本整備のようなハード事業とソフトの
事業を両輪で進めることが危機に強い国、
災害に強い地域をつくると考えるからです。
昨年11月11日の当委員会において、ハザード
マップを例にソフト事業の必要性を指摘し、また今
避難訓練の重要性についても指摘させていただきました。
こういう指摘をいたしますと、今年度創設をされました
地域自主戦略交付金を活用してほしい旨の答弁、
最近の委員会でもありましたけれども、この地域
自主戦略交付金は今のところハード事業が対象で
ソフトには使うことができません。
今後、ソフト事業に対する国の財政支援に
ついてどのようにお考えか、御見解をお願いします。
○国務大臣(片山善博君)
消防も含めまして、その補助金の一般財源化と
いうのをかねてやってまいっております。したがって、
その補助金自体としては、特にハード事業ですけれ
ども、その額が少なくなっているということは確かで
あります。
ただ、一般財源化をした分は、その分が地方
交付税の基準財政需要額の方に算入されて
おりますので、自治体の方でそれなりの標準的な
行政を行おうと思いましたら、それはもう地方
交付税で確保されているはずであります。そこの
ところの共通認識が必要だろうと思います。消防も
そういう流れの中で今日まで変遷をしてきております。
今回の地震を経まして、私もやはり消防の施設の
整備というのは非常に重要だと改めて認識を
いたしました。御指摘のありましたように、一次補正
にもかなりの額を計上しましたけれども、これは専ら
どちらかというと滅失したものを回復するとか、それが
中心でありますので、新たな積極的な整備ということに
なりますと、今後の予算ということになります。
特に24年度の予算編成過程においては十分に
注意をしたい、これまでとはちょっと違った見方を
したいと思っております。
その際、ソフトになりますと、先ほど一般財源化の
話をしましたけれども、ソフトの事業というのは総じて、
個別の一つ一つの事業を取りますと額の余り大きく
ない事業が中心であります。そうしますと、これを
補助金にしますとどうしても零細補助金になりまして、
かねて地方分権改革とか地域主権改革の中で整理
して自治体の自主性が発揮できるようにという方向に
持ってきたことと反することになってしまいますので、
その辺はよく注意をしなければいけない。
むしろ、ソフトの経費というのは地方交付税を充実
させるということの方で賄う、解決するということの
方がトータルとしては賢明ではないかと思います。
○吉川沙織君
今御答弁いただきましたけれども、これは昨年の
委員会でも御紹介いたしましたが、このハザードマップ、
これはソフトですけれども、財政面が問題になって、
これも策定ができていないというような現状もあります
ので、もちろんハードの整備も必要ですけれども、ソフト
に関しても、零細だとおっしゃいましたが、これも両輪で
やっていかないと危機に強い国はつくることはできません
ので、是非取り組んでいただければと思います。
交付金の関連で続けますと、女川町長は、複雑かつ
難しい手続のため時間的なロスが生じている状態で
あると指摘をされ、被災地で悪用や流用をする余裕は
ないから、是非一括交付金措置をしてほしいとお話を
されました。
女川町長の指摘は、各府省がそれぞれ持っている
補助金は煩雑で、災害復旧関連であれば何にでも
使える交付金を創設してほしいという趣旨であった
ものと私は理解をしております。
先ほど申し上げました地域自主戦略交付金の
要綱は、予算の移替え等制度の基本的枠組みを
定める制度要綱と、補助金等適正化法に基づく
手続等を定める各府省の交付要綱から構成されて
います。
従来の補助金よりは使い勝手が良くなっていますが、
各府省の縦割りの側面、全て払拭されているとは
言い難いと思います。各府省の交付要綱も分厚い
もので100ページ以上ありましたけれども、これを
逐一参照しなければならない地域自主戦略交付金の
スキームでは、女川町長や各被災地の長の要望に
おこたえすることはできません。
要は、限りなく一般財源に近い新しい交付金の
創設を求めていることだと理解しますが、御見解
をお願いします。
○国務大臣(片山善博君)
これはもうかねて被災地の皆さんから、国の縦割りの
補助金ではなくて、復興に当たっては自主性の発揮
できる自由度の高い一括交付金のようなものないしは
基金を設置してもらいたいということを伺っております。
私もかつて被災をした県で行政、復興に当たりました
ときに、各省の縦割りの補助金を一つ一つもらいに
行って決定を受けてということに支障を感じたことを
覚えておりますので、被災地の皆さんの今次の要望
というのは非常によく分かります。
これはもう復興構想会議でも一つの検討課題として
取り上げられておりますから、そこでも検討が進め
られると思いますけれども、別途政府におきましても、
この問題の必要性を私も感じておりますので、関係
方面と検討を始めたい、一部省内ではもう検討を
始めておりますけれども、検討を始めたいと思っております。
なかなか一朝一夕にはでき上がらないんではないか
という、非常な難しさがあるということを現実の問題
としては私も認識しておりますけれども、できる限り
これが実現するように努力をしたいと考えております。
○吉川沙織君
5月2日の閣議後の記者会見で、総務大臣、今
おっしゃった旨のこと、そして、それは早く進めて
いかなければならないと閣議後の記者会見概要を
拝見しましたら載っておりましたので、是非、大臣
主導、政治主導でやっていただきたいと思います。
続きの議事録(3/4)は、こちらです。