2007年11月20日国会質疑録
厚生労働委員会議事録‐2/3
○吉川沙織君
では、時間の関係もございますので、また違う観点から最低賃金と
生活保護との整合性についてお伺いをさせていただきます。
この最賃の適用を受ける可能性があるのは勤続年数が1年に
満たない人が多うございます。これに該当する人は6ヶ月、8割以上
出勤しないと有給休暇が付与されず休むこともままなりません。
最低賃金を仮に生活保護と同水準にすると、最初の6ヶ月に
1日でも休んでしまうと生活保護以下の収入になってしまいます。
この今回の修正案では、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものと
することとなっておりますが、先ほど御答弁いただきましたが、生活保護の水準を
一定程度上回る必要があるのではないかということ、そしてまた、生活保護基準が
見直され仮に引下げとなった場合、これが生活保護に係る施策との整合性として
双方ともに引き下げられてしまうような事態があってはならないと考えておりますが、
大臣の御認識をお教えいただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君)
最低賃金の決め方は、先ほど申し上げましたように、労働者の生計費が
どれだけ掛かるか、賃金がどれだけ掛かる、それから会社というか
事業者が通常どれぐらい支払能力があるか、この平均で決めます。
そういう中で、今回の最低賃金法の趣旨は、生活保護を下回らないように
しましょうということでありますから、じゃ、その経済の状況変わって生活保護が
下回ったからといって、そのまま機械的に比例して下げればいいというものではない。
先ほど申し上げましたような3つの要素をきちんと勘案して、
地域の、この各地域ごとにある最低賃金を審議する審議会で
公労使が入った上できちんと議論をして、どういう手だてを取るかということで、
片一方下がったから片一方自動的に下げるというものではありません。
○吉川沙織君
ありがとうございます。
では、仮に生活保護が下がった場合、
最低賃金は一緒に引き下げることはないという認識でよろしいでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君)
機械的に比例して下げるということではありません。
そういうことも含めてきちんとした基準に基づき状況を、経済状況、
雇用状況、そして生活全体の状況を考慮した上で、各地域の審議会に
おいて公労使が入って公平に議論をして決めると、そういうことでございます。
○吉川沙織君
今まで御答弁の中で3つの要素のお話がたくさん出てまいりました。
その中で、労働者の生計費という言葉、何度も繰り返されましたけれども、
この労働者というのは定義は特にあるんでしょうか。
○政府参考人(青木豊君)
労働者は、労働に従事して賃金を支払われる者ということだったと思います。
○吉川沙織君
特に若い人で単身者をモデルとしているということではないという解釈でよろしいでしょうか。
○政府参考人(青木豊君)
労働者の定義はそういうことだと思いますけれども、
最低賃金制度におきましてどういう労働者をイメージするかと、
どういうところをターゲットにして制度をつくり、その基準たる額を
設定していくかということだと思います。
それについては、もちろん制度の設計でありますので、
様々な労働者なりが考え得ると思います。しかし、私どもとしては、
最低賃金ということでございますので、日本の賃金体系から考えると、
一般的には単身の若年者をイメージして制度設計するというのが
適切なのではないかなというふうに思っております。
○吉川沙織君
先ほど、小林委員の最後の方の質問の中にもありましたとおり、
今非正規雇用の方がたくさん増えています。そういう方の中では
生活費ぎりぎりで家族を支え、またいろんな人を支えて生活をされて
おられるケースも多々あるんではないかと思います。
そういう場合、この労働者の定義が例えば単身の若い人であれば
救われない、報われないということもあるのではないかと思うんですが、
どうでしょうか。青木さん、お願いします。
○政府参考人(青木豊君)
確かに、そういう意味では、生活保護のように世帯でありますとか
年齢でありますとかそういうものをきめ細かく設定をしてそういう制度を
つくるということは、生活保護のような場合にはあり得ると思いますが、
これは使用者が支払う賃金の最低水準を定めるということでありますので、
その最低の支払うべき、これは罰則をもって強制するわけですけれども、
ものについては幾つもの種類が出るということは考えられませんので、
どこか一つに決めるということだろうというふうに思います。
そういう意味で、先ほど申し上げましたように、日本の賃金の実態、
賃金体系からいきますと、単身者の若年者を想定して設計するのが
適切なのではないかなというふうに思っております。
○吉川沙織君
今罰則規定のお話出ましたので、
今回設けられることについてお伺いをさせていただきます。
今回の改正で、地域別最低賃金違反の罰金額、従業員1人当たり
50万円に引き上げられることになっております。しかしながら、
違反した経営者の摘発につながっているのは一部であると思います。
今後は、違反した企業名の公表などを通じた罰則規定の強化が
必要だと考えますが、御認識について副大臣にお伺いをさせていただきます。
○副大臣(岸宏一君)
今回、50万円に引き上げられたということ、
これが罰則の制裁的な効果が上がるものということで期待をしております。
この中で、最低賃金法違反の指摘を受けた企業名を公表したらどうかというふうな話も
ございましたが、これらにつきましては、一般的に言えば、当該企業の競争上の地位や
その他正当な利益を害するおそれがある、あるいは公表が前提となりますと、
監督指導時において意図的に事実関係を隠ぺいすると、調査に行った場合ですね、
そういうこともおそれがあるということで、支障を来すということになりはしないかということで、
この辺、企業名を公表しないことになっておりますが、しかし、なお労働基準監督官の
指導にそういう案件があって従わなかった場合など、非常に悪質だと思われるものに
ついては司法処分に付することとしております。
そのような場合には、必要に応じて書類送検や送検をした
事案を公表しているというのが今の実態でございます。
例えば、外国人を大量に雇って最低賃金以下で使っていたとか、
そういう場合などなどがこの送検の、しかも公表の対象と、こういうふうに考えております。
○吉川沙織君
ありがとうございます。
先週の報道、さっき少し取り上げたものの続きなんですが、
これ、経営者の摘発につながるというのは毎年2,000人ほどにとどまっている。
なぜならば、労働基準監督署が調べるのは事業場
全体の3%にすぎないという現状がどうも関係しているようです。
すべての事業場に対する調査は困難であることはもちろん理解を
いたしますが、経営者として最低限守るべきルールは守られるべきでありますし、
違法行為は絶対に見逃されてはいけないことだと思います。
徹底した指導を大臣始め副大臣、政府関係、お願いしたいと切に願うところでございます。
続きの議事録(3/3)は、こちらです。