2007年11月20日国会質疑録
厚生労働委員会議事録‐3/3
○吉川沙織君
では次に、続きまして、これの関連ということで、私自身もこの世代の
1人でございます若年者の雇用の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
私、今回30歳で当選をさせていただきました。
就職活動をいたしましたのは1998年、平成10年のことになります。
当時は、景気が底を打っていて就職氷河期、特に74年から76年生まれの
人間は超就職氷河期と呼ばれたぐらい、働きたい、どんなに働きたいと思っても、
どんなに働きたいと願っても、企業が採用の門戸を固く閉ざしていた、
そういう時代に当たります。
残念ながら正社員という道を選べなかった多くの仲間、同世代の仲間は
非正規という働き方を余儀なくされたまま、今、30歳前後の年代を迎えています。
今、学卒の新卒採用は景気回復に伴ってだんだんだんだん改善はされて
いますけれども、この置き去りにされた30歳前後というのは、景気回復の
波にも乗れず、そして、非正規という働き方を余儀なくされたがゆえに、
職業能力がないということで正規雇用の道も残念ながら閉ざされているような
状況があります。
また、年長フリーターと言われるように、最賃並み若しくは
生活ぎりぎりの範囲で働くことを余儀なくされている方もたくさんいらっしゃいます。
そしてまた、最近公表されました年金の実質納付率ございます。
これ、若いほど、若い年代ほど未納が深刻な状況という、こういう現象もございます。
これ、問題は現在余り表面化していないだけで、年長フリーター、
25歳から34歳までの人間が親を最後のよりどころにしている場合、
その親御さんが介護、そして病気等でもう本当に生活が立ち行かなくなってしまった場合、
親子共々貧困の道を歩んでいかざるを得ないような状況も容易に予想されるのでは
ないかと思います。
こういう若年者雇用、そして取り残された世代がある、
こういう対策とか御認識について大臣の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君)
吉川さんは非常に、今御自分で述べられたように、大変な時期に就職を
迎えた就職氷河期、あなたより10年年取った先輩はもう逆に引く手あまたで、
例えば証券会社に入ると、入って最初の年の夏のボーナス100万なんという話があって、
だからやっぱり時代による世代間の不公平って、何とかなくしていくというのは
やっぱり政治の仕事だというふうに思います。
そういう意味で、これは例えばパラサイトシングルなんていう言葉で呼ばれていますけど、
今は、今御指摘のように、まだ高齢化で御両親が健在、親のうちに住める、親に
食べさせてもらえる、そういうことがあるわけですけど、それが、だんだん親も年取って、
自分が倒れて介護が必要な身になると、こういうことは当然想定されるわけですから、
何とかこの社会保障制度を担ってもらう、正に国民年金を未納というような状況を
なくすためにもこれが必要なわけで、今、年長フリーターの正規雇用、これを目指して
フリーター25万人常用雇用化プランということで、キャリアアップのためのトレーニングを
やったり、いろんなことを今具体的にやりつつあります。
それから、これはもう企業もできるだけ正規の形で雇用をしてもらうように、これも企業の
社会的責任として我々の方からもお願いをするということをやっておりますので、
やはりその時代の荒波にもまれて、それで世代による不公平がいつまでも続くという状況
は、私は政治としてきちんと是正すべきであると思いますので、この問題特に、最年少で
御当選なさったんですかね、一番御認識が深いと思いますので、またしっかり御提言賜って、
全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
○吉川沙織君
前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。
ただ、今御答弁の中にありました、その関連でお伺いをさせていただきます。
本当に前向きに取り組んでいただけますでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君)
私自身もいろんな世代による不公平、例えば私は団塊の世代ですから、
生まれたときから競争にもまれて、60人学級で十何組という、これは
お隣に座られている小林さんも全く同じだと思います。
何で我々はこれだけ競争にもまれて苦労しないといけないかと思ってここまで
よわいを重ねてまいりました。しかし、自助努力ではやっぱりかなわないところがあります。
何度も申し上げますけれども、戦後日本の高度経済成長の基礎というのは企業が
セーフティーネットを張ってくれていた。しかし、バブルの崩壊によってそれがなくなった。
正にそれが今の年長フリーターの問題であると思いますので、セーフティーネットは
政府が中央、地方を問わずきちんとやるべきであると、この認識が必要だと思います。
したがって、そのためにはコストが必要ですから、財源議論も
私はきちんとやらないと、天からお金が降ってくるなら幾らでもできます。
しかし、私は、例えば年長フリーターの人がきちんと正規雇用を得て、そして
生き生きとして働く、家庭も安定する、そしてちゃんと年金の掛金も払ってもらう、
そういうことが明るい活力ある日本の基礎だと思います。
そのために必要な、じゃ、その25万人雇用プラン、どこからお金が出るんだ。
私は予算要求をして、予算下さいよと。その予算付けてトレーニングのための訓練を
やってもらうと。そうすると、またこれが、そんなのお金無駄遣いだと言う人がいるんです。
そうじゃないですよ、その投資は必ず2倍、3倍になって実を結びますよと、私は
そういう発想が必要であると思いますので、きちんと消費税増税論議もやりたいと思います。
○吉川沙織君
今の御答弁の中で、フリーター25万人常用雇用化プラン、また20年度概算要求では、
これ35万人のプランになっておりますけれども、これ、常用雇用化された後、この雇用を
された若年者層が一体どれだけ定着をしてどれだけ働けているのかというところも
疑問ですし、また、先ほど団塊の世代のお話ありました。
私自身というか、だれしも生まれる時代というのは選ぶことができません。
でも、就職活動をした時期が、たまたまその時代が不景気だったから、
そのことを一生引きずるのはあってはならないことだと思っています。
今御答弁の中にもありましたとおり、これは政治がしっかり役割を果たして、
この不公平感を是正する、若しくは取り残された世代の格差というものを
しっかり狭めていかないと、10年後、20年後の日本社会、経済を展望したときに、
本当に税収面、そして現役世代が先輩方を支える社会保障の根幹にも
かかわる問題だと考えております。
なので、本当に前向きにやっていただきたいと思っているんですが、
企業に正規雇用の義務化を設けるというお話ございました。
これは積極的に取り組んでいただけますでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君)
企業に対して義務化ということはなかなか法律的にもできません。
しかし、私は常に申し上げているのは、企業というのはただ金もうけすればいいのかと。
それは、その利益の最大化というのはビジネスということの定義で
あるかもしれないけれども、やはり今日の先進社会においてはきちんとした
社会的責任を果たすということが重要だと思いますんで、経営者たらんと
する者はそのことをきちんと認識していただきたい。
そして、我々もいろんな提案をし、指導をし、また要請をしていくと、そういうことでございます。
○吉川沙織君
では、企業に何らかのインセンティブを与えるような仕組みを
つくるですとか、そういう具体的な方向性というのは検討はもうされていますでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君)
そのことも含めて、例えば別の例ですけれども、心身障害者の雇用の比率を
きちんとやりなさい、クオータ制ですね、例えば女性の雇用比率をきちんとやりなさい、
そういう中で、例えば目標として、何人以上の従業員がいる会社は非正規雇用を
正規雇用にする率を何%にしろと、そういうことが検討できるかもしれません。
これも真摯に検討して、できることがあれば実現したいと思います。
○吉川沙織君
私自身、今大臣がおっしゃっていただきましたとおりのことを
実は個人的ですけれども思っておりましたので、是非、大臣主導で
強く進めていただきたいと思っています。
なぜならば、この問題放置をし続けますと、本当にさっきの年金の
実質納付率の問題ではありませんけれども、この社会が成り立たなくなる
おそれが非常に多うございます。
そしてまた、若年層における格差の拡大というものは、
日本社会全体における格差の固定化を招き、日本全体が格差社会化をしてくる、
こういうおそれも内包していると言わざるを得ません。
2003年4月の若者自立・挑戦戦略会議の立ち上げ等を契機に、
政府においても対策を講じていただいているということは十分理解を
しておりますが、政策の効果を厳密に評価をし、効果のあるものとないものの区別、
そして効果があるものについては大臣主導又は政治主導で
しっかり対策をやっていただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。