2009年3月24日国会質疑録
総務委員会議事録-4/4
○吉川沙織君
最後に、政策評価のテーマ選定の在り方について、
まず厚生労働省にお伺いをさせていただきたいと思っております。
平成19年の6月19日の閣議決定、経済財政改革の基本方針2007に
よって、政策評価の重要対象分野というものは経済財政諮問会議が
テーマを提示する形となっています。しかしながら、経済財政諮問会議と
いうこの会議を関与させることでテーマが財政の論理に縛られる可能性が
強いということも考えられるのではないかと思います。
例えば、我が国の生活保護制度では、本来保護を受けられる人の
10%から20%程度しか捕捉していないとの指摘が多くの研究者から
なされているところでございます。こうしたいわゆる漏給問題に着目して
評価を行った場合、評価方法にもよりますが、評価結果が財政支出増に
つながる可能性があります。
すると、こういうテーマは担当府省の自己評価でも経済財政諮問会議でも
取り上げられないのではないかという懸念があります。例えば、厚生労働省
当局はこの漏給問題を政策評価として取り上げるお考えはありますでしょうか、
ないでしょうか。
○政府参考人(荒井和夫君)
私ども厚生労働省におきましては、自らの政策を評価して
その評価結果を政策に適切に反映するということを通して
国民の視点に立った政策運営とサービスの提供に努めております。
生活保護もこうした観点から政策評価を実施しているところでございます。
生活保護制度につきましては、御案内のように厳しい経済状況の中で
受給者は非常に増えておりまして、現在、速報値で見ますと、直近の数字で
被保護者人員が160万人を超えているという状況になってございます。
かつて一番少ない時期ですと88万人ぐらいでしたので、非常に
大きな増加となってございます。
したがって、引き続き生活保護の適正な実施と、それからその自立の
促進、支援に努めるということは極めて重要だし、必要だと思っております。
今後とも、この政策評価を適切、的確に実施していきたいと思いますし、
今年度に引き続きまして来年度もこの実績評価を行う方向で現在作業を
進めております。
○吉川沙織君
漏給問題を政策評価として取り上げるお考えがあるかどうかと
いうお伺いをさせていただいて、今御答弁いただきましたのは
生活保護制度全体に対して評価を行っていきたいということだったかと
思いますので、もし御見解があればで構いませんので、もう少しお願いいたします。
○政府参考人(荒井和夫君)
生活保護は、御案内のように憲法25条で保障された国民の
権利であり、また国民にとっての最後のセーフティーネットに
なるものでございます。その場合に、やはり濫給、漏給というものが
あってはならないということが大前提なんだろうと思います。
したがいまして、その政策評価を行うに当たりましても監査が
きちんと行われているかどうか、その中でこの漏給問題も当然に
対象になるんだと思います。
政策評価と関係ございますけれども、多少違う観点から申し上げ
ますと、個々にいろいろ問題が生じたときに、当然担当部署は、その
個別の問題についてきちんと対応すると同時に、また分析をして、
PDCAを回しながら問題点を把握して、それがより広範に適切な運営が
できるような努力をしておるところでございますけど、引き続き、今後とも
そういう個別の問題につきましてもPDCAを回しながら的確な対応が
できるようにしたいと思っております。
○吉川沙織君
御答弁は難しかったかもしれませんが、昨年の8月に
厚生労働省自身が実績評価として生活保護に関連する部分で、
濫給防止、それから漏給防止、自立支援ということについて
言及がございますので、もう少しこの点にも着目して、将来支出が
増える可能性が大いにある分野ではございますが、是非前向きに
評価の対象として、今後どうなっていくかという見通しを踏まえた上で
政策の立案というものをしていただければと思います。
あと、これ答弁は求めませんが、平成20年度予算に関しては、
生活保護制度の適正な実施の項目の中で濫給・漏給の防止対策の
推進という項目が大きく掲げられておりましたが、来年度の予算案を
拝見いたしますと、濫給、漏給の防止対策の推進というのがちょっと
言及がございませんでしたので、これは何らかの意図があったのか
それともなかったのか分かりませんけれども、大きな問題だと思いますので、
是非取組を進めていただければと思います。
そこで、大臣にお伺いをさせていただきます。
大臣は、この生活保護における漏給問題をテーマとして取り上げる
必要性はお感じになられますでしょうか。また、政策評価のテーマ
選定について、今、経済財政諮問会議から提示を受ける形で重要対象
分野というものが決められるわけですが、テーマの選定について国民や
国会の意見を踏まえて行うことが必要であると私自身は考えますが、
大臣の認識をできる限り端的にお伺いできればと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君)
私の所信表明で政策評価の部分が例年より少なかったと
言われてがっかりしましたが、私は最後の行政管理庁の
政務次官でございまして、私が生まれて初めて内閣、政府関係に
入りましたのがその行政管理政務次官でありました。
当時は行政評価という言葉ではなくて、むしろ行政監察という
言葉が一般的であったかと思います。行政管理局と行政監察局がありました。
したがって、私は、行政監察あるいは個別の行政の苦情に
どう対応するかと、そして行政評価というのは極めて重要な
問題だと思っております。
先ほどの外山委員の確認書の問題だって、
それは自治体と防衛施設庁という大きな問題ではあっても、
これは余りいいかげんな確認書が出回るようなことが多いとするならば、
それはまさに昔でいう行政監察の対象であったっていいと、私はそう思います。
そういう観点を十分持ちつつ、総務省が自発的にやっております行政評価
あるいは監視の対象として生活保護の分野はやりまして、昨年8月には
自立支援プログラムの策定状況等に関して厚生労働大臣に勧告を行った
ところでございます。
しかしながら、漏給、濫給という問題はあるわけでございます。
それでは、重要対象分野としてやるかということになりますと、
重要対象分野というのは大体年末に決まるんです。
どういう手続かというと、政策評価・独立行政法人評価委員会の
審議、答申を経て、毎年末の経済財政諮問会議において選定されます。
したがって、20年度の重要対象分野は地震対策と医師確保と、
こういうことになっております。21年度の対象分野は今年の
年末に決まるわけでございますので、一つの御意見として
それは重く受け止めておきます。
○吉川沙織君
生活保護の漏給問題を取り上げていただけるか否かということに
ついては答弁いただけたかと思うんですが、政策評価のテーマの
選定についてはやっぱり経済財政諮問会議と連携を密にするという
スタンスでの御答弁だったかと思います。
ちなみに、厳密に言えば、行政評価と政策評価は若干学術的には
意味が異なりますので、難しい分野ではあると思いますが、所信の部分は
短かったんですけれども、今大臣から政策評価並びに行政監視についての
熱い思いを答弁いただきましたので、是非リーダーシップを取って進めて
いただきたいと思っております。
最後に、政策評価に関する職員アンケート調査結果に
少しだけ触れて終わりたいと思います。平成19年の1月に、
総務省大臣官房政策評価広報課が政策評価に関する職員
アンケート調査というものを行っていらっしゃいます。
その前に2005年と2007年に行っていらっしゃいますので、
そろそろ今年またアンケートが行われるのではないかと思っております。
このアンケート結果を拝見しますと、様々なところ、観点から
アンケートが行われているわけですが、総務省の中で職位が
高いほど、ですから、今日政府参考人として御答弁をいただくような
方はもちろん政策評価に何らかの形で携わっておられるかと存じますが、
係長クラスになると一気に政策評価に関与している職員の割合が少ない
ということ、また総務省の中で認知度が少ないということもこの中で指摘を
なされております。
ですから、総務省がリーダーシップを取って、管轄する省庁と
いうことで是非、政治の側面からもしっかりやっていきたいと思いますが、
総務省の中でももう少し認知度を上げるなり、4月から8月までの間に
評価をあげなければいけないということで御苦労も大変おありかと思いますが、
この国の行政をいい形で進めていくために、是非鳩山大臣始め、取組を
進めていただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。