2009年3月30日国会質疑録
総務委員会議事録-2/4
○吉川沙織君
そこで、視聴者との接点、視聴者とのつながりと
いう観点から、昨年10月1日から廃止をされました
訪問集金の問題に焦点を当てて幾つか質問を
させていただきたく思います。
これは昨年も申し上げましたが、重要な観点ですので
申し上げておきたいと思います。
受信料の契約業務には2つの側面があると考えています。
1つ目が、公共放送としての自主自律を財政面から支えるために、
公平負担の徹底により公共放送の財源を確保すること。
2つ目として、日常の契約収納業務で視聴者に接する中で、
厳しい意見や批判、期待を受け止め、これを事業運営や
番組制作に反映していくための視聴者との接点の役割を果たすこと。
もちろん効率的に契約収納活動を実施することは社会の要請で
あることに違いありません。
ですから、昨年10月1日から訪問集金の廃止に至ったこと
自体は理解をいたします。ただ、視聴者との接点、インターフェース
という点から見れば、一般的な視聴者との接点、回路を一つ
失ってしまったことに相違ないのではないかと思っております。
訪問にこの人が来てくれるから受信料を払う、そこでいろんな意見を言う、
不祥事があったとしても、この人が来るから、文句は言うけれども払い
続けましょう、信頼をします、そういうことを訪問集金が果たしていた役割では
ないかと思っています。
そこで、訪問集金、昨年の10月1日に廃止をされましたが、
その廃止後、不払が増えるのではないかとの懸念がございましたが、
廃止後の状況についてお伺いいたします。
○参考人(大西典良君)
お答え申し上げます。
訪問集金を利用していただいた方は、平成19年度末で
220万件でありました。訪問集金廃止の9月末までに3割以上の
方が口座振替あるいはクレジット継続払いの変更をしていただきました。
9月末までに口座振替、クレジットカードの継続振替のお手続を
いただけなかった148万件の方には、振り込み用紙を10月から
送付しております。このうち、振り込みがいただけなかった方については、
2月以降、訪問による回収を今現在行っております。
3月末には訪問集金当時とほぼ同様の実績を確保できるのでは
ないかというふうに今見込んでおります。今後も引き続き、口座振替
あるいはクレジットカード継続振替へのお願いを訪問時と同時に
併せて行ってまいりたいというふうに思っております。
○吉川沙織君
今御答弁いただきましたが、公表をされておりますNHKさんの
視聴者対応報告というものを拝見いたしました。その中に、
平成20年6月の御意見の中で、訪問集金に来てくれないなら
受信料は払わない、この結果、理解を求めたということで
終わっているようです。平成20年11月の視聴者対応報告の中では、
30年近く受信料を一度も欠かさず訪問集金で支払ってきたが、
今回振り込み用紙が送られてきた、なぜ訪問で集金してくれないのか、
どうしても納得がいかない。これも、理解をいただいたというところで
終わっているようでございますが、視聴者との接点の後退は、幾ら
口座振替や振り込み用紙、クレジットカードという手段に変えたとしても、
視聴者との、ごくごく普通の視聴者の皆さんとの接点という点では
後退したのは紛れもない事実であると言えるんじゃないかと思います。
更に言えば、今月公表されておりますNHK理事会
議事録を拝見いたしますと、訪問集金の廃止により決算への
影響があるということ、そしてまた2月から、これは今、大西理事の
御答弁の中にもありましたが、2月から未収金の回収に取り組むと
報告をされています。
今御答弁あったかもしれませんが、改めて伺います、
何人のスタッフが訪問集金廃止後の未収対策に当たるんでしょうか。
○参考人(大西典良君)
現在、昨年の10月から訪問集金を廃止をいたしました。
訪問集金に要していたスタッフの数は2,400人であります。
その1,200人を今後削減し、1,200人については未収対策や、
未収というのは訪問集金で払ってこられなかった方、あるいは
契約対策の方に振り向けていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○吉川沙織君
今お伺いしているのは、元々訪問集金で受信料を
お支払いしていただいた視聴者の方の中で、スムーズに
移行がいかなかった場合、まだお客様の積み残しがあると
思うんですけれども、そこに、お支払いをいただくためにどれだけの
スタッフの方が2月から対応されているんですかということをお伺いを
させていただいておりますので、御答弁をお願いします。
○参考人(大西典良君)
今現在、訪問集金の、振り込めなかった方に対しては、
その契約を取り次ぐ業務と訪問集金の未収回収というのは
同時に行われるものでありますから、都市部のところについては
分業のような形でありますけれども、現在の予算案に書いてある
人数の中でそれぞれ振り分けながら今現在行っているということでございます。
○吉川沙織君
聞き及ぶところによりますと、その未収対策だけで1,400人ぐらいの
方が、2月から、訪問集金で払っていたけれども、引き続きお支払い
いただけなかった視聴者の方のところにお伺いをしているというようなことも
一部お聞きをしております。
となると、結局、訪問集金であなたが来てくれるから受信料を払う、
NHKに対しての率直な意見もお伝えするという役割を果たしていたかと
思いますので、一般視聴者との接点、回路を一つ失ってしまったのみならず、
すべての視聴者の方がスムーズにその後の手続で移行されていないことに
かんがみれば、必要以上にマンパワーと経費が掛かっているのではないかとの
懸念を抱かざるを得ません。
また、スムーズに移行できているとは言い難い事実がある以上、
昨年10月の訪問集金の廃止までに十分な周知が、もちろん
されたんでしょうが、できていたのか疑問です。
ちなみに、平成20年度のNHK予算案に対する総務大臣の
意見を拝見いたしましても、訪問集金の廃止の対象となる
視聴者が新たな仕組みに円滑に移行できるよう万全の対応を
取ることと付されていましたのが、すべての視聴者の方が
訪問集金からスムーズに移行できず、そこにマンパワーと経費を
掛けているというのであれば、視聴者との接点を一つ失うだけの
意味があったのかというところは、私自身は強く疑問を感じています。
続きの議事録(3/4)は、こちらです。