総務委員会(2022年5月19日)
総務委員会で50分間の質疑に立ちました。
総務行政全般について質疑することができるいわゆる一般質疑でしたが、今回は統計委員会委員長に答弁にお越しいただけることとなり、3月8日の総務委員会(大臣所信)、3月16日の総務委員会(予算委嘱審査)に続き、統計行政について質疑を行いました。
統計行政については、2016年12月末に発覚した経済産業省の統計不正を機に、2017年3月9日の総務委員会(大臣所信に対する質疑)で取り上げて以降、複数の委員会で取り上げてきた経緯があります。
2016年12月末の経済産業省、2018年12月末の厚生労働省に続き、2021年12月には国土交通省の不適切な統計取扱い事案が発覚しました。
国交省の不適切統計事案については、2022年1月に検証委員会報告書が出されましたが、5月13日には新たな2つの報告書(遡及改定検討・特別監察報告)が示されたことから、3月8・16日の総務委答弁と併せてこれらを踏まえた質疑としました。
質疑の基本的スタンスとして、GDPの遡及改定の質疑に傾くと数値のやり取りになってしまうため、統計の品質管理のための体制整備が十分であるかとの観点から質疑を行いました。
経産省統計不正を受けた統計の一斉点検、厚労省統計不正を受けた一斉点検において、国交省はそれぞれ5統計、7統計で指摘を受け、うち4統計が重複していたこと、そのうちの1つの調査の改善状況を尋ねたところ、不備が続いていたことが3月16日の総務委で明らかになりました。
今回の質疑において、改善状況でさらに確認を要する点について国交省に問うたところ、3月28日の統計委員会で報告された基幹統計調査票配付遅れ事案が指摘を受けた後継調査であったことが、新たに明らかになりました。
統計の品質管理が十分ではない点について、省庁の現場には人も足りず余裕がないとの声、人を減らし予算を削ったうえで仕事の量が増えていったことが主な原因とする有識者の声も上がっていることから、一斉点検において各府省の自己点検に限界があるのではないかとの指摘を繰り返してきましたが、改めて統計委員長に見解を問いました。
また、近年の統計不正を受けて新設された「統計幹事」「統計監理官」「統計分析審査官」の役割、統計委員会との分担など不明確な点についても確認しましたが、閣議決定で定められた公的統計基本計画に明記され各府省に派遣されていなければならなかった統計監理官は、国交省に派遣されておらず(3月8日総務委答弁)、機能しているとはとても言い難く、統計委の特別検討チームにおいても「統計分析審査間は短期間で配置されたため、担当職員の能力差、活用体制等に府省間で落差があり」とされ、その機能強化は喫緊の課題です。
国交省の統計不適切事案を受け、5月13日に示された特別監察報告書を受け、改めて統計法第60条第2号についての見解を当事者である国交省と統計法を所管する総務省に質しました。
統計法第60号第2号は「基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者」とされ、今回の国交省の事案は、誤り発見後に対応せず不正としてしまった事案であり、過失ではなく故意であると考えらます。
統計法違反の告発の判断基準についても問いましたが、判断基準の検討の有無すら答えないという残念な答弁に終始しましたが、本件でこそ問わなければ、この条文の意味はないのではないかと考えます。3月8日の総務委で、総務大臣は国交省の事案は統計法の理念に反すると明確に答弁しているわけですから、統計法の条文を形骸化させてはなりません。
2018年の統計法改正において、統計委員会の機能強化がなされ、統計委員会は勧告権限を有しました。しかしながら、厚労省の統計不正事案でも勧告は行われず、今回、せめて勧告は視野に入るのか統計委員長に問うたところ、それはあり得るとの答弁でした。
特別監察報告書においては、公文書管理法違反についても多数指摘があったことから、公文書管理法を所管する内閣府に、他の省庁についても把握する必要性等について指摘し、前向きな答弁を得ました。
これまで幾度も繰り返し委員会質疑で訴えてきましたが、行政が信頼を獲得するためには、政策立案の元となる統計等データが正しいものであること、国民共有の知的資源である行政文書が正しく作成・管理されていることが何より大事です。
しかしながら、5月13日に公表された特別監察報告書の中に、「公文書管理の優先度合いが低かった」旨記述がありました。統計行政においても同様ではないでしょうか。
そうはならない状況を作っていかねばならないと思います。問題が大きくなる前から統計行政も公文書管理も委員会質疑で取り上げてきましたので、今後も立法府の立場からチェックしていきたいと考えています。
[質疑項目(行政制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査)]
1.統計等データに対する認識[総務大臣、統計委員長、国交省]
・行政への信頼獲得に対する現状認識(大臣)
・一斉点検における国交省の統計不適切事案の対処状況(国交省)
・統計の品質管理のための体制整備の在り方(統計委員長)
・特別監察報告書を受けた研修の実効性担保方策(国交省)
・統計品質確保のために新設された役職と役割分担(総務省)
・体制整備強化への取り組みと方向性(大臣、統計委員長)
2.統計法第60条に対する見解[総務省、統計委員長、国交省]
・特別監察報告を受けての告発に対する考え方(国交省)
・特別監察報告を受けての見解(大臣)
・統計法違反告発の判断基準(総務省)
・国交省統計不適切事案に関する勧告の見通し(統計委員長)
・統計委員会の機能強化と統計法制見直しについての見解(統計委員長)
3.統計不正事案に共通する問題の背景[総務省]
・回収率の低さに関する分析必要性に対する見解
4.統計分野における公文書管理の状況把握[内閣府、国交省]
・統計分野における公文書管理の状況把握(内閣府)
・遡及改定に関する検討会議の開会状況と公文書管理(国交省、内閣府)
5.地方議会の意見書と立法府の在り方[総務大臣]
・地方議会における意見書の法的根拠
・沖縄県議会における全会一致の意見書に対する見解
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