議院運営委員会(2021年7月30日)
議院運営委員会で質疑に立ちました。
約3週間前の7月8日の議院運営委員会において4回目の緊急事態宣言の発出に際し、国会報告を受けましたが、今回は首都圏3県と大阪府を緊急事態宣言の対象とする報告がなされました。
東京オリンピック開会最中の緊急事態宣言追加、ならびにまん延防止等重点措置区域の指定であり、これはすなわち感染急拡大を意味します。
4回目の緊急事態宣言発出から2週間以上経過しても感染者は減少するどころか、連日過去最多となっており、高齢者以外の世代のワクチン接種が十分でない状況下では、新規感染者数を増やさないことこそが肝要です。
総理は、7月21日の新型コロナウイルス感染症対策関係閣僚会議において、以下のように発言しています。「都の重症者数は連日60人前後で推移し、今しばらく注視を続ける必要があると考えております。これまでの感染拡大局面で見られたような新規感染者の増加に伴う重症者の急増といった兆しは見られておりません」
新規感染者が急増すれば、これに伴い重症者も増えてしまうことは容易に予想されます。これらの事態を見越して対応することこそが、総理が表現する「先手先手の対応」のはずです。
ワクチン接種の効果を上回る形で感染者数が全国的に広がっているという指摘もあります。背景として、デルタ株の感染拡大があるとされており、これに関して、政府の基本的対処方針において、これまでほとんど記述がありませんでした。
英国由来のアルファ株に関する記述は、5月28日以降、7月8日まで詳細に書かれていましたが、今後はより感染力の高いデルタ株に置き換わると予測されているのであれば、基本的対処方針で示す対策も変わるはずですので、デルタ株置き換わりに備え、基本的対処方針に示す対策はどのような変更がなされたのかを問いましたが、従来の対策の繰り返しの答弁に終始しました。
次に、本年1月の第3波と異なる点として、デルタ株の拡大に加え、20歳代~50歳代の現役世代の感染拡大が指摘されていること、また、20歳代~30歳代の新規感染者数が多い一方で、重症者は40歳代~50歳代の比率が高くなっていることを挙げ、特に、20歳代の若年層に新規感染者が急増している原因を大臣に質しました。
そのうえで、「中年層」「若年層」に分けて、感染や重症化の傾向を把握してはいかがかと指摘しました。
次に、今回の国会報告の午前中に、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で40歳以上に対し、アストラゼネカ社製ワクチン使用が了承されたことについて問いました。ワクチン接種についても、基本的対処方針に記述があるためです。
アストラゼネカ社製ワクチンについては、血栓症などの副反応報告も海外でなされており、日本では5月21日時点で、直ちに公的接種には使わない方針が示されていました。
今、なぜこのタイミングで方針を転換するのか、対象年齢を50歳以上としている国も多い状況下で、なぜ40歳以上としたのか設定根拠を丁寧に説明する必要性について問いました。
次に、総理や政府が発信するメッセージについて、社会で危機感が共有されていない要因の一つとして、総理が伝えるべき時に機会を捉まえて国民に対するメッセージを正面から伝えることができていないことについて、大臣に見解を質しました。
最後に、3週間前の議院運営委員会での国会報告の一部の政府方針が撤回されたことを受け、今回の委員会冒頭にその旨、大臣から発言がありました。
それは、酒類提供に関する箇所についてでしたが、これは行政府の独断で物事を進めようとしたものであり、法律による行政の原理の意義を没却しかねないものでした。
真に必要な対策と考えるのであれば、立法府で十分に議論したうえで進めるのが筋です。
社会全体が共通の危機感を共有し、対処することが求められるからこそ、国会を開き、与党か野党かは関係なく、問題点や課題を明らかにして対応策を議論し、必要に応じた立法措置を行うことが必須です。
憲法第53条に基づく臨時会の召集要求が出されている以上、臨時会を召集する義務が内閣にあることを指摘して、今回の質疑としました。
[質疑項目(新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の期間延長及び区域変更に関する件)]
1.緊急事態宣言下の感染急拡大の現状分析
・デルタ株への置き換えと基本的対処方針の変更部分
・20歳代に新規感染者が急増している原因分析
2.ワクチン接種の在り方
・アストラゼネカ社製の追加理由と接種対象年齢を40歳以上とした根拠
・今このタイミングで3種類目のワクチンを追加する理由
3.政府からのメッセージ発信必要性
・社会で危機感を共有するためのメッセージ発信必要性
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