会議録とは‐番外編
いやはや、またまた更新が滞ってしまいました。匿名ブログとはいえ、更新できないときは、早く更新しなきゃなぁ、と焦るのですが、なかなかです。
さて、95日間も延長した今の国会も会期末まで、審議に使える残り日数は数えるほどとなりました。
与野党最大の対決法案である安保法案については、委員派遣(地方公聴会)の持ち方でも激しい議論が予想されますが、今回は、会議録の観点から、与野党対決の構図を見てみたいと思います。
現在、参議院において、安保法案と労働者派遣法改正案が象徴的な対決法案として審議されています。この2つの委員会では、しばしば「速記が止まる」状態に陥っています。
委員長が「速記を止めてください」と発言した後、会議録には、[速記中止]と掲載されています。
なお、委員会が再開されるには、委員長が「速記を起こしてください」と発言する必要があります。どこで速記が止まったのかは、後世に残り続ける会議録にしっかりと明記されています。
なぜ、「速記を止める」という事態が発生するのかは、各議員には議席に応じて質疑時間が配分されていますが、政府側が答弁に窮しても、速記が中止とならない限り、当該議員の質疑持ち時間はカウントされ続けてしまうためです。
よって、政府側が長時間答弁できない事態に陥ったり、答弁が不十分で委員長や与野党理事間で協議する事態に陥ったりすると、速記が止まることが多くなります。
しかし、それにしても、安保法案を審議する特別委員会と、派遣法を審議している厚生労働委員会の速記中止回数は、異常とも言える回数に上っています。
「速記を止めてください」と宣言できる権限は、委員長のみにあります。上記法案を審議する委員会の委員長は、与党出身です。にも関わらず、審議を頻繁に止めざるを得ないということは、それだけ答弁が安定していない、ということでしょう。
というわけで、安保法案を審議している特別委員会は、速記が止まる回数が多いため、予定された時刻に散会にならないことが常態化しています。
TV中継審議の際、速記が止まってしまうと、その間、やり取りの音声は全て止まりますので、NHKのアナウンサーは場つなぎのためのナレーションが大変なんですよねぇ。

答弁内容について与野党理事間で協議のため速記中止のケース

大臣が答弁に窮し官僚が説明をするため速記中止のケース
なお、個人的には、余程の事態でない限り、基本的に速記は止めるべきではない、という考え方を持っています。
