吉川さおり 参議院議員(全国比例)
MENU

議会雑感

束ね法案と一括審議-番外編

2018年1月19日

立法府に身を置く議会人の一人として、平成24年12月以降、その割合が増える傾向にあった、いわゆる「束ね法案」について久々に書いてみたいと思います。

平成30年1月18日の衆参両院の議院運営委員会理事会にて、行政権たる内閣から1月22日召集の第196回国会への「内閣提出予定法律案等件名・要旨調」が提示されました。

これは、国会召集前に立法権たる国会に行政権たる内閣から提示されるものです。

         

内閣提出法律案は提出予定64法律案、10条約ですが、ほかに「提出予定」以外の検討中のものとして、4法律案、1条約が示されています。       
          

昨年9月の衆議院解散によって廃案となった「労働基準法の一部を改正する法律案」は、平成27年に国会に提出された法律案で、高度プロフェッショナル制度の創設や企画業務型裁量労働制の拡大を含む内容でした。

法律案名に「等」が入っていることから、本則3本以上を含む束ね法案で、(1)労働基準法、(2)労働安全衛生法、(3)労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の3法律案が含まれていました。

当該法律案は、平成27年に内閣が国会に提出して以降、昨年の衆議院解散によって廃案となるまで2年以上審議入りできない状態が続きましたが、1月22日召集の第196回国会では、法律案名を「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」として国会に提出される予定です。

          

厚生労働大臣が労働政策審議会に諮問した法律案要綱においても「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」となっており、これによれば提出予定の本法律案には以下の8法律案が含まれる見込みとなっています。

(1)労働基準法
(2)労働安全衛生法
(3)労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
(4)雇用対策法
(5)労働者派遣法
(6)パート労働法
(7)労働契約法
(8)じん肺法

上記のいわゆる働き方改革関連法案においては、昨年廃案となった労基法等一部改正案に含まれていた高度プロフェッショナル制度の創設や企画業務型裁量労働制の拡大が含まれており、長時間労働を助長する懸念があります。

他方、働き方改革実行計画において示された時間外労働の上限規制は、長時間労働の是正を目的とするものであり、今回の働き方改革関連法案に含まれることになりますが、高度プロフェッショナル制度創設や企画業務型裁量労働制の拡大とは政策の方向性が全く異なります。

これらが束ねられて1本の法律案として立法権たる国会に提出される見込みとなりました。

しばらく筆を止めていましたが、気力が湧けば「束ね法案と一括審議」シリーズを久々に書いていきたいと思います。でも、気力が湧かない気もします・・。

(参考)
束ね法案と一括審議-その1」平成27年5月16日
束ね法案と一括審議-その2」平成27年5月17日
束ね法案と一括審議-その3」平成27年5月25日
束ね法案と一括審議-その4」平成27年7月17日
束ね法案と審議時間」平成27年7月18日
第190回国会における束ね法案-その1」平成28年2月7日