吉川さおり 参議院議員(全国比例)
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議会雑感

特別委員会の設置-その3

2016年10月27日

○参議院規則第80条

特別委員長の互選は、無名投票でこれを行い、投票の最多数を得た者を当選人とする。得票数が同じときは、くじでこれを定める。但し、投票によらないで、動議その他の方法により選任することができる。(以下略)

○参議院委員会先例録18

特別委員長は、会派に対する割当てに基づき、当該会派から推薦された者について、委員長の職務を行う年長者の指名により選任するのを例とする

今回は、特別委員長の互選について、年長者の指名ではなく、特別委員会の場で協議のうえ互選された例について見てみたいと思います。

[特別委員会の場での協議により特別委員長を互選した例]

第1回国会 昭和22年7月11日

参議院在外同胞引揚問題に関する特別委員会

開会時刻:12時42分
速記中止:12時48分
速記開始:13時16分
散会時刻:13時18分

開会段階から、本来理事の数が3名程度のものを5名にすることの合意がなされました。

その後、特別委員長についても先例にとらわれず、各会派の理解を得つつ、協議を促す場面が登場します。

特別委員長を選ぶための話し合いが速記中止まで行われ、速記再開までの約30分間、特別委員長に誰を選ぶかという議論が行われたものと考えられます。

速記再開後、まず理事の選任を行っています。ただ、先例によらない人数を選ぶこともあり、正規の方法を省略し、仮委員長の指名で5名を選任しています。

その後、特別委員長も同様に仮委員長が指名することを異議の有無をもってはかった後、特別委員長を指名して散会しています。

以上が、特別委員会の場での協議により特別委員長を互選した例ですが、特徴的な部分のみ会議録を紹介したいと思います。

第1回国会 昭和22年7月11日

参議院在外同胞引揚問題に関する特別委員会

・理事の人数と特別委員長の選任方法について

仮委員長:

それでは5名ということに決定いたします。
次に、委員長の選挙でありまするが、例によりますというと、各派交渉会におきまして、その所属數などによつて按分されたりすることが今まであつたのでありまするが、先程浅岡さんからもいろいろ有益なお話がありましたのですが、この会が独自性を持つという意味からいたしまして、そういうふうな旧慣に捉われず、この会におきましては、最も有為な、熱のある方を委員長にというお話もあつたようでありますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。御意見を伺います。

委員:

私は、先程皆さんが、普通の例からすれば3名というのを、5名に贊なさつたというのは、会派の大小を問わないで、熱心な人は。

たとえ小さい会派からでも出そうという見込が立つて、5名に殖やしたのが一つの理由であつたろうと思う。そういうことになれば、今度は投票を用いるということにした結果は、若しもそういうことはあるまいが、意圓するところがあつたとすれば、多数会派によつて全部独占し得るということになると思う。そんなら私はやはり選挙によらずして、この委員会は重大であるし、一つ各派とも共同で、同胞引揚の問題について努力したいという熱意である以上は、そうした方法を用いずして、ここで一つ端的に、自分の会はであればこの人を實は推したいのだという、こういう意見表示をされて、和やかに一つやって貰いたいと思う。