議長警察権-その2
○衆議院規則第208条、参議院規則第217条
議長は、衛視及び警察官を指揮して、議院内部の警察権を行う。
○衆議院規則第209条、参議院規則第218条
衛視は、議院内部の警察を行う。警察官は、議事堂外の警察を行う。
但し、議長において特に必要と認めるときは、警察官をして議事堂内の警察を行わせることができる。
議長警察権は、議長の指揮の下に、衛視及び警察官によって行使されます。ただ、第一次的には衛視によって行い、必要があれば、国会法第115条により、警察官の派出を議長が要求することになります。
よって、派出警察官は、議長の指揮の下にある限りは、議長警察権の執行機関たる地位のみを有するのであり、一般警察権の執行機関たる地位を有するものではないと解されているのです。
一方で、議長又はこれに代わるべき者の許諾があれば、通常の警察組織の指揮系統に従って一般警察機関として活動し得るものであるという説もあります。いずれにせよ、昨日の国会内における警察官との初の訓練を契機として、三権分立の観点から、考え方の整理が必要であると思われます。
なお、派出警察官の受け持ち場所は、通常は議事堂(分館を含む)外に限られていますが、議長において特に必要があると認めるときは、議事堂(分館を含む)内の警察を行わせることができます。
すなわち、衛視のみをもってしては秩序維持が不可能な状態となったとき、警察官をして議事堂(分館を含む)内の警察に従事せしめることができるのです。
先例録を見ると、この場合、警察官の警棒及び拳銃は取り外させています。よって、この辺も考え方の整理が必要でしょうし、見直しが必要なのかもしれません。
○参議院先例録456
議院に派出された警察官は、原則として議事堂外の警察を行う
議院に派出された警察官は、議長の指揮の下に議事堂外の警察を行う。ただし、議長が特に必要と認め議事堂内の警察を行わせることがある。その例は次のとおりである。
第24回国会 昭和31年6月2日における議院内の混乱に際し、議長松野鶴平君は、衛視のみではその秩序を回復し議事の進行を図ることが困難と認め、特に内閣に対し500人の警察官の派出を要求し、これを議事堂内に入れ秩序の回復に当たらしめた。その際、警棒及びけん銃は取り外させた。(中略)議長は、秩序回復後直ちに警察官の退場を命じた。
余談ですが、上記混乱の反省から、昭和33年の国会法改正において、会期末及び閉会中の秩序問題に対処すべく懲罰規定の穴が埋められました。
それにしても、ちょっと気になったことがあります。
今日、読んだ新聞は日経、読売、朝日、毎日、東京です。そのうち、昨日の国会内の合同訓練について、写真入りで報じていたのが、日経、朝日、毎日なのですが、警察官しか写りこんでいないのです。
昨日の訓練は420人が参加し、衆議院衛視220人、参議院衛視50人、警察官150人で、あくまで国会内、かつ合同訓練なんですけどね・・。
