重要広範議案とは
○日本国憲法第63条
内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
前回のブログで触れた、重要広範議案について紹介したいと思います。
重要広範議案とは、委員会に付託するに先立ち、本会議において趣旨説明及び質疑を行う重要な議案であって、各会派の合意により、内閣総理大臣が本会議において答弁すべきものとして指定された議案です。
国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律(平成11年法律第116号)による制度改正の一環として、第146回国会から重要広範議案という考え方が導入されました。
これにより、内閣総理大臣が出席する議案の趣旨説明・質疑は、議院運営委員会理事会が特に重要かつ広範な内容を有すると認めるもの(重要広範議案)に限られることとなりました。
ただ、日本国憲法第63条は、議院から要求があれば内閣総理大臣も国務大臣も出席しなければならないと規定しています。ですから、平成11年の制度改正によって、重要広範議案という考え方を導入した時点で、議員の個別の答弁要求を一律に調整・抑制したといえます。
事実、それ以前は、ほとんどすべての趣旨説明・質疑に、議員の答弁要求により、内閣総理大臣が本会議に例外なく出席していたからです。
重要広範議案という考え方を導入したのは、先日紹介した党首討論が時を同じくして導入されたため、党首討論の定期的な開催が想定されたこととの兼ね合いから、内閣総理大臣の本会議への出席を制限する重要広範議案という調整が図られたのです。
しかし、党首討論はほとんど開かれておらず、審議の活性化とは逆方向に作用した側面は否定できません。
ともあれ、現在、重要広範議案という考え方があり、本会議で内閣総理大臣の出席を求める重要広範議案は、委員会でも総理の出席を求めることが慣例になっています。
ただ、参議院の場合、衆議院とは異なり、国会開会冒頭で重要広範議案を決めても、廃案等、送付されない場合もあるため、国会冒頭で全ての重要広範議案を定めず、国会の審議状況を勘案して決めています。
〇平成29年3月13日追記
第193回国会における重要広範議案を紹介→「第193回国会における重要広範議案」

