「質問」「質疑」の違いと質問主意書
○国会法第74条1項、2項
各議院の議員が、内閣に質問しようとするときは、議長の承認を要する。
質問は、簡明な主意書を作り、これを議長に提出しなければならない。
○国会法第75条1項、2項
議長又は議院の承認した質問については、議長がその主意書を内閣に転送する。
内閣は、質問主意書を受け取つた日から7日以内に答弁をしなければならない。その期間内に答弁をすることができないときは、その理由及び答弁をすることができる期限を明示することを要する。
上記は、質問主意書についての規定を抜粋したものです。
国会で行われる代表質問などは「質問」と言われていますが、「質問」は書面でするのが原則であるため、正確には「質疑」です。
では、「質問」と「質疑」の違いは何でしょうか。
「質問」とは、議員が議題と関係なく、国政一般について内閣に対し事実の説明を求めたり所見を質したりする行為、「質疑」とは、議題について疑義を質す行為をいいます。
「質問」は、書面でするのが原則であり、「質問」する場合、議員は議長に対し簡明な主意書を提出し、その承認を得なければなりません。
質問の範囲又は対象について特に明文上の制限はありませんが、内閣に資料を求めることのみを目的とする質問主意書は、議長はこれを受理しません。
各議員が個別に行う質問に、資料要求は含まれていないからです。
議長が承認した質問は、印刷して議員に配布するとともに、内閣に転送します。内閣は、質問主意書を受領した日から起算して7日以内に文書により答弁しなければなりません。
7日の期間内に答弁できないときは、内閣は議長に対し、その理由及び答弁できる期限を明示して通知しなければならないことになっています。
答弁書もまた、印刷の上、各議員に配布されます。
質問主意書は、国会が開会している時のみ提出することができますが、第194臨時会は会期冒頭、9月28日に衆議院が解散され閉会しました。
非常に短い会期でしたが、第194臨時会での質問主意書はどのような扱いだったのかを見てみたいと思います。
衆議院:主意書の提出はあったものの、解散に伴い院の構成が変わるため、内閣に「転送に至らず」
参議院:院の構成が変化するわけではないため、主意書は内閣に転送されたが、内閣から「答弁延期通知」
今回のように国会が直ちに閉会してしまい、立法府の議員が全く「質疑」できない状況下であれば、内閣の見解を公式に質すことのできる「質問」は効果的なのかもしれません。
ただ、参院議員の「質問」に対する内閣からの答弁を眺めてみると、解散しているからか、無回答に近いものが多いような気がしてなりません。
