一事不再議の原則と同一議案の提出例
○国会法第56条の4
各議院は、他の議院から送付又は提出された議案と同一の議案を審議することができない。
国会法第56条の4はこれまでも紹介したとおり、一事不再議の原則を規定しています。
では、実際どのような場合が考えられるのでしょうか。
そして、なぜこの原則が存在するのでしょうか。
たとえば、衆議院で審査中の議案(法律案)があるとします。
これと全く同一の議案を参議院で発議すると、衆議院から当該議案が万が一送付された場合、一事不再議の原則に抵触することになります。
衆議院から当該議案が送付された場合、参議院提出の議案の審査ができなくなるため、衆参で同一文言の議案の提出を避けてきたのが、議会の先人の知恵です。
ちなみに、参議院においてこの規定が適用されるのは、衆議院から議案が送付された後であり、衆議院段階で当該議案が議決されるまでの間に参議院で同一の議案を提出し、議案を審議しても法規には違反しません。
ただ、先ほど指摘したとおり、同一文言の議案を衆参両院で発議し、衆議院から当該議案が参議院に送付された場合、一事不再議の原則に抵触しますので、このような議案の提出というのは避けられてきましたし、ほとんど例がないのは当然のことなのです。
では、実際のところ過去の例はどうなのでしょうか。
以下のとおりですが、議案名は伏せています。
昭和56年5月 第94回国会
平成14年12月 第155臨時会
平成30年6月 第196回国会
(参考)
「一事不再議の原則」平成28年7月4日
「一事不再議の原則と衆議院の優越」平成30年7月25日
