安保法案をめぐる与野党の攻防
今週は、戦後最大の95日間の延長を行った国会最終盤において、与野党の激しい攻防が展開されています。
今後の我が国の在り方を大きく転換することになるであろう安保法案がその中心ですが、9月17日に参議院特別委員会で与党が採決を強行し、主戦場は参議院本会議にうつっています。
気の向くままに、昨日夕刻以降の動きについて書いてみたいと思います。
今、国会で何が起こっているのか。
一刻も早く数の力で採決し、法案を成立させたい与党と、数は及ばないけれども、法案成立を何とか阻止したい野党のせめぎ合いです。
昨日、9月17日、参議院特別委員会で安保法案を可決したとされるのが、16時過ぎのことです。
ちなみに、現時点での採決部分の会議録は「……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)」です。
こんな状態ですが、特別委員会の可決を受けて、与党は法案を一刻も早く成立させるために、参議院本会議を議院運営委員長の職権でセットしました。
なお、本来、参議院本会議は、これまで紹介したとおり、定例日については、参議院先例録220によって月・水・金とされており、定時については、参議院規則第81条によって、午前10時とされています。
しかし、安保法案の本会議採決を急ぐ与党は、与野党の合意なきまま、定例日外、定時外の9月17日(木)20時10分に本会議をセットしたのです。
しかしながら、今の国会の会期末は、9月27日であり、会期までまだ10日間残っているのです。
よって、安保法案成立を何としても阻止したい野党は、数の力でかなわなくとも、国会ルールに従って、取り得る手段を講じています。
つまり、参議院本会議の議題が安保法案の採決に至る前に、様々な決議案等を提出することによって、安保法案の採決に入ることを阻止しているのです。
それは、法案の採決に優先する、総理や大臣に対する問責決議案の提出であり、衆議院における内閣不信任決議案の提出を意味します。
参議院における問責決議案や委員長解任決議案の処理には、まず、提出されてから議案を印刷する必要があります。
よって、議案の印刷に要する時間、次に実際の本会議で議案の趣旨説明・討論に時間を要するため、決議案等1本あたりの処理には3時間程度かかることとなります。
何としても安保法案成立を阻止したい野党は、決議案を連発することで、法案の採決に至るのを少しでも遅らせているのです。
対する与党は、議案の趣旨説明や討論に延々と時間をかけられたくないため、趣旨説明や討論時間を制限する動議を提出して、これを数の力で可決し、決議案等の趣旨説明や討論の時間を短くしようとしています。
一方の野党は、参議院での採決は通常押しボタン式投票ですが、出席議員5分の1以上をもって記名投票を要求することで、投票に時間をかけて抵抗しているのです。
国会法や議院規則、先例等に則って、与野党とも取り得る手段を講じながら、安保法案をめぐる与野党攻防は、最終局面を迎えているといえます。
