内閣不信任決議案の考え方
前回、「内閣不信任決議案とは(再掲)」で日本国憲法第69条の規定を引用して、内閣不信任決議案について紹介しましたが、今回は、その扱いについて学説上の紹介をします。
内閣不信任決議案が出た場合の考え方です。
内閣の存在は、国政にとって1日も欠くことのできないものです。
その内閣を内閣総理大臣の指名を通じてつくるのが国会の責任ですから、その内閣の存立に関わる問題である内閣不信任決議案が提出された場合は、一刻も早く解決しない限り、国政の停滞を避けることができないとされています。
すなわち、内閣が提出した法律案等を審議する国会で、その内閣に対して不信任決議案が提出された場合は、全ての内閣提出法律案も国会で審議できない状態になる、との解釈です。
第196回国会の延長国会最終盤である、平成30年7月20日(金)9時51分、衆議院に内閣不信任決議案が提出されました。
延長国会の最終日は、7月22日でしたが日曜だったことから、実質的な最終日は金曜日の7月20日ということになります。
よって、7月20日は会期末手続きのための委員会等が衆参両院でセットされていましたが、内閣不信任決議案の提出に伴い、これの処理が終わるまで全ての手続きが中断することになりました。
内閣不信任決議案は、別の院であっても委員会審査を中断せざるを得ないような重いものですが、今は与野党の議席差があり過ぎるからか、緊張感に欠ける場面が散見されました。
