委員派遣(地方公聴会)と委員会の同日開会
○参議院規則第38条
委員長は、委員会の開会の日時を定める。(以下略)
○参議院委員会先例録37
委員会の開会の日時は、委員長がこれを定める
委員会の開会の日時は、委員長がこれを定める。この場合において、委員長は理事と協議するのを例とする。
9月16日、13時から2時間半の予定で、参議院特別委員会の委員派遣(地方公聴会)が横浜で開催されます。委員派遣(地方公聴会)が終わった後、18時から2時間の予定で安保法案審議のため、参議院特別委員会が開会される予定です。
前段の委員派遣(地方公聴会)は、与野党合意のうえで開催されますが、後段の18時からの特別委員会開会は、与野党で合意に至らず、特別委員長の「職権」で開会を決定しています。
つまり、理事会(理事懇談会)において与野党理事間で協議が調わないまま、18時からの特別委員会が開会されることを意味します。なお、通常は、賛否が異なる議案についても、与野党理事間で合意したうえで、委員長が開会の日時を定めています。
そもそも、公聴会や委員派遣(地方公聴会)は、国会法第51条、国会法第103条において、重要な案件について学識経験者等から意見を聴き、調査のために委員を派遣する、としています。
国会法が定める公聴会や委員派遣(地方公聴会)は、その後の委員会審議を充実させるために行うものです。
よって、今回のように9月15日に公聴会、9月16日に委員派遣(地方公聴会)を連日開会し、しかも、委員派遣(地方公聴会)の当日夜、与野党の合意が得られないまま委員長職権で特別委員会を開会するのは、公聴会と委員派遣(地方公聴会)を開催する趣旨に照らせば、強引な委員会運営であると指摘されても仕方ない側面があると考えます。
平成に入って以降、参議院において委員派遣(地方公聴会)と同日に委員会を開会した例を、私は2例しか知りません。
平成11年8月5日 第145回国会
「参議院地方行政・警察委員会」住民基本台帳法の一部を改正する法律案
平成25年12月4日 第185回臨時会
「国家安全保障に関する特別委員会」特定秘密の保護に関する法律案
[9/17追記]
9月16日18時に委員長職権でセットされた特別委員会は、理事会開会自体が30分遅れ、その後は野党の激しい抵抗もあり、理事会の休憩と再開を断続的に繰り返し、16日中の開会には至りませんでした。
日付が変わった9月17日の0時5分に理事会、0時10分の特別委員会開会が委員長職権によって、改めてセットされましたが、再度、休憩と再開を断続的に繰り返し、4時前に約4時間後の8時50分理事会再開まで異例の休憩となりました。
よって、今回は、同日に委員派遣(地方公聴会)と委員会開会という事態には至りませんでした。
