議案の付託-その3
現在、予算・補正予算を除くほとんど全ての議案について、発議、提出された時点で、いずれかの会派から議院の会議(本会議)での趣旨説明聴取の要求がなされています。
そして、要求の付いた議案は、議院運営委員会がその取扱いを決定するまで、委員会に付託されずにそのままの状態で置かれています。
委員会に付託されない限り、法案の実質審査に入ることができない状態が続くことから、議院の会議(本会議)趣旨説明聴取の要求は、「吊るし」(議案の吊るし)と呼ばれています。
よって、要求している会派が議院の会議(本会議)での趣旨説明聴取要求を取り下げない限り、議案は、「吊るされている」状態が続くことになります。
趣旨説明要求議案を取り下げる等して、委員会付託することに合意されたことを「吊るしをおろす」といいます。
議案が「吊るされている」状態、つまり、いずれかの会派が議院の会議(本会議)で趣旨説明聴取要求をしたままの状態で、この取扱いについて合意が得られない場合、どうなるのでしょうか。
この場合、議院運営委員会で、議院の会議(本会議)における趣旨説明を聴取せず、委員会に付託することの動議が出されます。その動議を採決することにより、多数をもって議院の会議(本会議)を省略して、直接委員会に付託します。
残り会期等の関係から、議院の会議(本会議)の趣旨説明聴取から審議入りしては間に合わず、与党がどうしても成立させたいと考えている対決法案の場合や、一の会派がどうしても議院の会議(本会議)での趣旨説明聴取からの審議を求めて譲らない場合など、委員会に付託するための採決が議院運営委員会で行われます。
この辺の用語を使った国会内の会話に、最初の頃は、随分戸惑ったものです。
「今度の法案、吊るしがおりた?」
「○○党が本会議質疑を要求していて、まだ吊るされたままだよ」
「××党は吊るしをおろしてくれているんだけどねー」という具合です。
他にも、議案の趣旨説明のことを「お経読み」、与党理事の打合せを「与理懇(よりこん)」、野党理事の打合せを「野理懇(やりこん)」などなど、何だかビックリするような用語が国会内で飛び交っています・・。
