海底ケーブル敷設船「きずな」視察報告③
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海底ケーブル探査機
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船上
海底ケーブル敷設船「きずな」視察報告③
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今回は『海底ケーブルから盗聴!?の真相』、『省庁間連携の必要性と国策としての海底ケーブル事業』について報告します。
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海底ケーブルから盗聴!?の真相
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最近、「海底ケーブルが盗聴されている」という記事を目にすることがあります。
これに関しては、光の増幅工程で光から電気に変換する際に発生する電磁波をキャッチすることで盗聴可能としていますが、現在は、光を直接増幅しているため電磁波は発生しておらず、その根拠を失っています。
ただし、増幅器やケーブルの製造工程で何らかの盗聴システムを組み込むことは可能かもしれないため、製造メーカーの選定も留意する必要があります。
なお、NTTグループが利用する海底ケーブルの製造メーカーはNEC、アルカテル(仏)、SubCom(米)の3社であることから、そのリスクは極めて低いといえます。
盗聴に限って言えば、局内の伝送装置の部分でデータをキャプチャし、暗号化を解読されることの方が危険です。そのため、暗号化技術の高度化についても安全保障に直結する課題です。
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省庁間連携の必要性と国策としての海底ケーブル事業
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経済安全保障を中心とした国防観点に立てば防衛省、領海や輸送という観点に立てば国土交通省、電気通信事業という観点に立てば総務省の所管となり、重複する部分や狭間になっている部分については指示系統を含め、国として対策を講じる必要性があります。
また、海底ケーブル事業に関し、フランスにおいてはサプライヤーのアルカテル社(Nokia関連)をフランス政府が買い戻して国策化し、アメリカにおいてはSubComと国防総省が連携しているとの話もあり、日本においてどのような考えで海底ケーブル事業を捉えるか、つまり国策として考えていくのか、民間任せにしていくのか方針を定めることも課題であるといえます。
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⇒次の報告で最終回です
