吉川さおり 参議院議員(全国比例)
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活動記録

海底ケーブル敷設船「きずな」視察報告②

2025年11月13日
  • ケーブル格納庫(船内)
  • 無外装ケーブルと外装ケーブル(展示)

海底ケーブル敷設船「きずな」視察報告②
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経済安全保障の観点からも昨今報道も多い「海底ケーブル」を取り巻く情勢について10月に行った海底ケーブル敷設船「きずな」の視察報告その②です。
今回は『海底ケーブルの敷設作業』、『海底ケーブル敷設船維持や更改に係る課題』について報告します。
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海底ケーブルの敷設作業
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人間の活動が活発な浅海部は切断事故を防ぐために外装鉄線を巻いた丈夫な「外装ケーブル」、人間の活動がほぼ無い深海部は「無外装ケーブル」を使用しています。

ケーブルは中心から光ファイバー/耐水圧層/抗張力線/電力線/絶縁層の構造となっており、耐水圧の課題により、現時点ではケーブル1条に光ファイバー48芯の挿入が限界ですが、1本の光ファイバーに複数のコアが入るマルチコアファイバーの研究開発も進んでいます。

実際の敷設作業前に、ケーブルルートの選定のため調査船で音波により海底地形を3Dマッピングして調査していますが、仮に外国船に調査委託すると日本近傍の海底地形情報が流出してしまうため、経済安全保障上も調査運用が国内企業のみで行えるよう体制整備が必要です。

海底ケーブル敷設船「きずな」は、最長4,000kmのケーブルを積載できる「ケーブルタンク」を具備しています。ただ、ケーブルの「より」をほぐしながらケーブルの積載を行う必要があり、昔ながらの手作業で実施するなど、極めてアナログな工程です。 たとえば、ケーブル4,000kmの積載は8時間の3交代制で作業を行っても1ヶ月以上の工程となります。

また故障修理の際には、予備ケーブルを少なくとも数10km積載して出航するため、仮にケーブルの切断事故が発生したからといって、直ちに出航することは極めて困難です。

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ケーブル敷設船維持や更改に係る課題
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ケーブル敷設船については扱う機械に汎用性が乏しく、そもそも高価であり日本製は少なくなっている現状があります。

また、更改判断や船の建造にも時間を要しますが、最近の報道にも見られるとおり、経済安全保障の観点からケーブル敷設船に関する法制化を含む動向も踏まえて検討する必要があります。