吉川さおり 参議院議員(全国比例)
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コラム

NTT関連法いまむかし①

2025年5月23日

私、吉川さおりはNTTグループにとって節目のひとつである1999年4月にNTTに入社し、同年7月1日のNTT再編成を経て、NTT西日本の所属となりました。2006年7月にNTT西日本を退職の後、現在はNTT法等を扱う総務委員会を中心に国会で活動しています。

そして、今年、2025年はNTT民営化から40年の節目の年でもあります。

私たちの事業や雇用はもちろん、国民・利用者の皆様にも大きく関わるNTT法や電気通信事業法、電波法の今昔(いまむかし)について、これまでの主要な改正内容をはじめ、2025年5月21日に成立した改正NTT法等についても紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

-電気通信事業の歩み-

かつて、電気通信事業は、国の機関である逓信省、電気通信省によって行われていましたが、1952年に日本電信電話公社に引き継がれ、1985年には電電公社が民営化され、日本電信電話株式会社(NTT)となりました。

そして、民営化と同時に電気通信市場に競争原理が導入され、NTT以外の事業者の参入が可能となったのです。なお、日本電信電話公社法は1952年に成立しましたが、1984年に日本電信電話株式会社法(NTT法)の成立と同時に電電公社法は廃止されています。

また、私、吉川さおりが退職時にNTT西日本の所属であった理由は、持株、東西及び長距離国際会社に再編成することが適当であるとされた1997年のNTT法改正によって、NTTが再編(法律名も「日本電信電話株式会社等に関する法律」に変更)されたことによるものです。すなわち、NTTグループの事業と雇用の関係は、法律が関係していることとなり、職場から遠いようであっても国会や法改正の動向は直接的に関係することとなるのです。

-電気通信分野とユニバーサルサービス-

電電公社の民営化後、電気通信事業者による競争を通じたサービスの普及を基本としつつ、国民生活にとって不可欠なユニバーサルサービスを維持するため、ユニバーサルサービス制度が設けられており、加入電話(固定電話)や第一種公衆電話、緊急通報、ワイヤレス固定電話や固定ブロードバンドがその対象となっています。

なお、電気通信分野におけるユニバーサルサービスについては、電気通信事業法第7条において規定されていますが、NTT法第3条と併せ読むことによって、電話のユニバーサルサービスをNTT東西のみに課すことが読み取れる条文となっています。これについては、2020年5月14日の参議院総務委員会での次のようなやり取りがあります。

[2020(令和2)年5月14日 参議院総務委員会]
〇吉川沙織君:電気通信事業法は、公正競争の促進について定めるとともに、競争の補完としての基礎的電気通信役務(※)について定めています。そこで、電気通信事業法第7条及び日本電信電話株式会社等に関する法律第3条の関係性について局長に伺います。
※ユニバーサルサービスのこと

〇総務省総合通信基盤局長:委員御指摘の電気通信事業法第7条、それからNTT法第3条、このいずれも、国民にとって不可欠な通信サービスにつきまして、ユニバーサルサービスとしての提供の確保を意図したものでございます。
もう少し具体的に申し上げますと、電気通信事業法第7条は、基礎的電気通信役務、いわゆるユニバーサルサービスを提供する電気通信事業者に対しまして、当該役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供に努めるよう求めるものでございますけれども、他方、NTT法第3条は、特に電話に着目をして、国民にとって基幹的な通信手段であることを踏まえ、NTT東西に対し提供の責務を課すことによりまして、そのあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供を確保しているというものでございます。

[参考条文]
◎日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年法律第85号)
(責務)
第3条 会社及び地域会社は、それぞれその事業を営むに当たつては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意するとともに、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与し、もつて公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない。

◎電気通信事業法(昭和59年法律第86号)
(基礎的電気通信役務の提供)
第7条 基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべき次に掲げる電気通信役務をいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定的な提供に努めなければならない。
一・二 略