2008年4月8日国会質疑録
総務委員会議事録‐3/4
○吉川沙織君
さて、今回の法案ですが、先ほどの質疑の中でも
何度も交わされましたけれども、今回の法案はあくまで
暫定的であり、抜本的な対策にはなっていないということ、
そして自治体の自主課税権に反するおそれがあることなど、
様々な問題点があるとの認識に立って、これから
幾つか質問をさせていただきたいと思っております。
法人事業税の一部を国税化することに
ついての是非をお伺いしたいと思っております。
地方法人二税は都道府県にとって
有力な財源、つまり基幹税というふうになっております。
税収減少となる東京都やこれは愛知県のみの問題ではないと考えております。
なぜならば、2005年度の決算額を見た場合、
地方税総額の40%以上を占める東京都以外にも、
35%以上は栃木、山梨、静岡、愛知、滋賀、大阪、三重など、
地方税に占める地方法人税総額が大きい地域に
とっては有力な地方税源を失う打撃は大きく、これは
先ほどの質疑の中でもありましたが、自治体の
企業誘致努力に水を差すものではないかと考えております。
そもそも、地方法人税の一部を国税化し、
地方に再配分するという方策は、受益と負担の関係が
不明確となり、応益原則と負担分任原則の課税原則に
反しているのではないかということ、
また、これは自治体の自主課税権の否定、
そして地方自治の侵害そのものではないかと考えますが、
大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(増田寛也君)
まず、今の地方税構造の中で、お話しございましたとおり、
特に都道府県は法人事業税、それから市町村も
含めまして全体としては法人二税の占める割合が
大きいわけでありますけれども、これは景気によって
大分影響されるということがございます。
偏在もございますし、それから景気によって不安定なもので
ございますので、これを何とか是正をしていかなければならない、
こういうことがありまして、今回、暫定的な措置で
ありますけれども、こうした偏在是正措置を講じたわけでございます。
今お話にございましたとおり、分権改革の方向の
中で、地方税の一部を国税化するということが
分権改革の方向に反するのではないかという、
こういう御指摘もいろいろいただいているわけです
けれども、今回、実現を目指しております地方法人特別税
ですけれども、これは形式上は国税という形で
御承知のとおり構成してございますが、全額を地方に譲与すると、
税収の全額は地方に譲与しますし、それから課税徴収も
都道府県が行うと、都道府県が取る税でございますので、
実質的には地方の税源というふうに考えております。
それからあと、法制上もこれ、賦課徴収等は
法人事業税の例によるということで国税通則法の
適用を除外していますし、国税徴収法上は地方税と
みなすということをしております。
それから、総務省の方の設置法の中にも、
総務省の所掌事務として今回の地方法人特別税の
企画立案について入れているということでございますので、
そういう点からも実質的には地方の税源であって、
形式上は地方税そのものにしておくと応益の観点から
いかがかという点がございますけれども、いろいろ工夫を
いたしまして、その点は今申し上げましたようなことでクリアをしていると。
実質的に地方税ということで暫定的な措置と
いうことに仕組んでいるわけでございますので、
この点も勘案していただきまして、地方自治を目指す、
地方自治の中で分権を目指しているその方向を
否定するものではないと、こういうふうに考えているわけであります。
○吉川沙織君
では、この暫定措置法案が成立した場合、法律を実質的に所管し、
地方法人特別税や地方法人特別譲与税の在り方を方向付けるのは、
これは総務省ということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(増田寛也君)
関係方面とよく御相談をして改正なりの企画立案などを
行っていくわけですが、事務はすべて総務省の方で所管をしてまいります。
○吉川沙織君
では、税制の抜本改革の際における地方法人特別税として、
今回国税化された法人事業税相当分の地方税としての復元について
もしお考えがあればお聞かせください。
○国務大臣(増田寛也君)
今後の税制抜本改革時の議論の方向というのは、閣議決定を
いたしまして地方消費税を充実するとともに、安定的そして偏在性の
少ない地方税体系を構築すると、こういうことになっておりますので、
今後そういう方向で抜本改革のときに私ども議論していきたいと。
これは、政府を挙げてそういう方向で議論をしていくということでございます。
○吉川沙織君
では、その税制の抜本的な改革において、地方税について
検討すべき課題としてどんなものを想定されているか、
また、最も大きな課題はどんなことだとお考えでしょうか。
○国務大臣(増田寛也君)
地方税の関係では分権改革委員会の中でも
幾つか論点が示されておりますが、やはり一つは、
安定的な、そして偏在性の少ない税体系を
構築していくということが大事かというふうに思います。
それから、やはり今大きく社会構造が変わって
人口も減少時代に向かっているという中で、今の
偏在性ということとも絡んでまいりますけれども、
特に過疎の地域を含むような地域には非常に
新たな行政需要が出てくると。
そうした今後生じ得る行政需要も十分に満たしながら、
地方自治体が仕事をしていくというためには、やはり大きく
地方税収を充実強化する方向ということが必要になってくる
だろうというふうに思います。
仕事、国と地方の間で新たに役割分担を見直しをして
今後大きく地方の方に移していくと、そういうことでございますので、
今後は地方の税収というものも充実強化をさせるという方向が
当然必要になってくると、こういうふうに思っておりますので、
特に大きな論点について今申し上げました。
そのほか細かな点いろいろございますけれども、大きな
論点としてはそういうところを十分に踏まえていく必要があるというふうに思います。
○吉川沙織君
税制の抜本的な改革に対する課題を伺いました。ありがとうございました。
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