2011年11月4日国会質疑録
災害対策特別委員会 議事録5/6
○吉川沙織君
今御答弁の中で、日ごろからの避難訓練が
重要だとありました。避難勧告等が適切に
発令され、日常から非日常へと正常性
バイアスから放たれた住民の方々が避難
行動に移す際に重要になることは、どこに
避難するか、どう避難するかが重要な
ポイントになると思います。
避難訓練の重要性については論をまたないと
考えますが、大臣の御見解をお伺いします。
○国務大臣(平野達男君)
避難訓練の重要性ということにつきましては、
これは、地域としてあるいは学校として安全な
ところに避難できたという背景の中には、通常の
防災教育あるいは避難訓練等々があったという
ことは、これはかなりの事例で見れることであります。
しかし、その一方で、避難したんだけれども、
東日本大震災の場合には、ここに避難していれば
大丈夫だと思って避難したにもかかわらず、そこに
高い波が押し寄せて、そこに避難していた方が
波にのみ込まれたという例もございます。
そういった避難の重要性と併せて、全体のその
想定の在り方ということとセットでいろんなことを
考えていかなくちゃならないというふうに思っております。
○吉川沙織君
総務省消防庁は、先月11日の地域防災計画
における地震・津波対策の充実・強化に関する
検討会において、岩手、宮城、福島を除く
海岸線を有する市区町村及び津波被害が
想定される団体に対して、東日本大震災を
踏まえた地域防災計画の見直しに関する
アンケートの調査結果を公表しています。
アンケートの内容は多岐にわたるんですが、
住民が参加する津波避難訓練を実施している
かに関しての結果を見ると、実施していない
団体が51%に上ってしまっています。
先ほど大臣からも答弁ありましたけれども、
東日本大震災では避難訓練を実施している
地域の方は迅速に避難ができたという事例
もあることですから、訓練の実施有無が避難
行動に影響を与えることは言うまでもないと
思います。
これを実施していない団体が多いということに
ついて、この原因を大臣はどう考えますか。
○国務大臣(平野達男君)
今回の津波によって人々がどういう行動を取ったのか。
特に、私は、避難をされたということの事例を調べる
というのも大事ですけれども、なぜ2万人近い方々が
亡くなって、行方不明になっておられるのかということの
方も重要だというふうに思っています。
なぜ避難訓練をされていなかったのかということに
つきましてはもう重要な検証の項目になると思いますが、
私の今までの現地を歩いている感覚の中では、
何といっても過去の体験というのが一つあります。
例えば、福島県の相馬地方ではこれまで津波と
いうものを体験したということがないということで
ありまして、津波警報がされている中で、ここなら
大丈夫だというよりも、そこに避難をするというよりも、
津波が来るかどうかを見に行っていた方々がいたと
いうようなことも聞いております。
しかし、そこが津波で洗われてしまったということに
ついては、原体験としてその津波というものの怖さと
いうものがなかなか伝わっていなかったということ
だろうと思います。私は、今回の東日本大震災で
津波を受けた方々は、これからしっかりとした防災
体制を組んでいただけるというふうに思っています。
問題は、そのほかの地域の中でどういう体制を
組んでいただけるか。そういった意味でも、東日本
大震災の教訓というものをしっかり整理しまして、
これを各地域につなげるということが大事だと
いうふうに思っております。
○吉川沙織君
今御答弁いただきましたけれども、実は、この
津波避難訓練を実施していない理由においても、
津波避難訓練を行う知識、ノウハウがないという
回答が最多になっていますし、小規模自治体では
兼務体制であるため防災業務に手が回らない
状況があるという自治体からの回答もありますので、
財政的な措置も含めて是非支援をしていただければ
と思います。
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