2012年3月29日国会質疑録
総務委員会 議事録2/4
○吉川沙織君
東日本大震災では、発生の20分後から、
中学生がスマートフォンを使いNHK総合
テレビの内容をインターネット動画配信サイトに
アップしています。
この中学生がアップした動画の配信を認めるか
否かについて、NHK広報局担当者は、停電のため
テレビが御覧になれない地域があります、人命に
かかわることですから、少しでも情報が届く手段が
あるのでしたら活用していただきたく存じます、ただ、
これは私の独断ですので、後で責任は取るつもりです
とネットで配信しています。
現行法ではNHKの放送をネットで流すことに
問題があるためですが、必要なときに必要な人に
情報を届けることこそが公共放送の使命として、
この担当者は判断をされたと思います。
発災当日21時ごろから、NHKとしても緊急措置
として番組のネット同時配信を開始されておりますが、
国民の生命、身体を守る使命を持つ公共放送として、
非常時にインターネットをどう活用するのかあらかじめ
議論を行い、明確に位置付けておく必要があると
思いますが、会長の御見解をお伺いいたします。
○参考人(松本正之君)
お答えいたします。
NHKは、公共放送といたしまして災害から国民の
生命、財産を守るという観点で、緊急災害放送を
インターネットなど様々な伝送路を通じて提供する
ことは今後もあり得るというふうに考えております。
緊急放送をインターネットで提供するのは
どのような場合かというのは一概に言うのは
難しいということもありますけれども、それが
国民の利益にかなうというふうに判断される
場合には、インターネットあるいはNHKの
ホームページ、動画サイト、いろいろ提供を
許諾して進めていくということはあり得ると
考えております。
○吉川沙織君
NHKが最初に始めた後、民放も追随して
インターネットで情報を発信することによって、
海外の方からの支援の輪が広がったということも
あります。
ただ、その後は議論が一定程度なされていません
ので、是非、今会長の御答弁生かしながら、NHKの
中で議論を進めていただければと思います。
さて一方で、今回、改めてその役割を
見直されたのがラジオであると言えると思います。
NHKにおいても、平成24年度からの次期経営
計画において、災害発生時におけるラジオ放送等、
音声メディアの強化を検討することにされており、
仙台放送局では、4月から地域向けの新しい
ラジオ番組を夕方の時間帯に新設するとされています。
ただ一方で、ラジオ放送を充実するに当たり
克服しなければならない課題があることも
忘れてはいけないと思います。
例えば、平成22年7月に公表された
NHK・民放連、音声メディアの将来に関する
意見交換会中間取りまとめでは、混信、難聴
問題、ラジオ受信機の利用状況等の課題が
示されています。
ラジオ、特にAMは、首都圏を始めとした混信、
難聴対策や人工雑音対策が必要でありますし、
民放連研究所の調査によれば、AM、FMなどの
アナログラジオの所有の問いに対して、持っていると
認識しているという率は約6割にとどまっています。
災害時にも生きるツールであるからこそ、
これらの課題に向き合い、対処していく必要が
あると考えますが、NHKの見解をお願いします。
○参考人(金田新君)
NHKラジオでは、定時番組や特集番組で
幅広い世代に聞いていただけるような番組
開発に努めております。
特に新年度は、週末の土曜、日曜の夜、合わせて
8時間を若者のための番組ゾーンとして若い人たち
の心に寄り添う番組を編成しました。また、昨年9月
から難視聴対策としてインターネットを利用しました
「らじる・らじる」をスタートさせております。
先ほど御指摘のラジオ受信機の普及という問題に
対して、インターネットでアクセスできるということで、
若い方たちにも聞いていただける仕組みではないか
と考えております。
それ以外にも、民放局と一緒に、昨年10月、
共同でラジオキャンペーンもやっております。
もう一つ、難視聴の話でございましたが、AMラジオでは
御指摘のような問題が各所にございます。ということで、
こういう外国電波の混信を受ける地域については、
深夜の時間帯にFMラジオでAMラジオの番組を
流させていただいております。
きめ細かい対策を今後も続けていきたいと思っております。
それと、夜間混信が極めて著しくて改善の対策を
強く要望されている地域がございます。こういう地域に
つきましては、ラジオの周波数や放送所用地の取得が
条件になりますが、新たな中継局の設置も検討しております。
以上であります。
続きの議事録(3/4)は、こちらです。