総務委員会(2025年5月20日)
※会議録は確定稿になり次第、アップいたします。
総務委員会で1時間の質疑に立ちました。
議題は、「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等の一部を改正する法律案」です。奇しくも今年、2025年は電気通信自由化、電電公社からNTT民営化40年の節目の年です。
その今年、1999年に分離分割されたNTTグループにとって大きなひとつの節目となる法改正となりました。電気通信事業者は須らく事業法である「電気通信事業法」の規律を受けますが、NTTだけはかつて公社だったこともあり、事業法である「電気通信事業法」に加え、NTT法の規律も受けます。
「事業法」とは?(2024年4月16日総務委員会)
NTT東西は、メタル固定電話のあまねく提供責務がありますが、今回の改正によってこれが削除となり、その代わりに新設される「最終保障提供責務」として、メタルの設備が維持限界を迎える2035年までサービスを継続することになりますが、この間、固定電話の契約件数は大幅に下がってしまい、固定電話の維持に係る赤字額は増加の一途をたどっています。
固定電話の維持に係る赤字は増加(2025年5月20日総務委員会)
ここ数年の赤字でも増加していますが、2020年5月14日の質疑の際に明らかになっている赤字額は、361億円でしたので、ここ数年で500億円超の赤字となり、急速に状況が厳しくなっているかがあらわれていると言えます。
今回の改正において、NTT東西の固定電話にかかるあまねく提供責務は廃止となり、さらにNTT東西の業務の範囲について規制緩和がなされます。と同時に、NTT東西はモバイルやインターネット接続事業に進出しないことも条文化されることとなります。
さらに、線路敷設基盤という重要な設備に経済安全保障の観点から、これまで入っていなかった管路・電柱・とう道等が追加され、これらを譲渡や撤去する場合、認可対象となることが委員会質疑の中で明らかになりましたが、職場実態を踏まえ、電柱1本の撤去や支障移転では引き続き認可が不要である旨、大臣から答弁がありました。
電柱1本撤去等に認可は不要?(2025年5月20日総務委員会)
今回の附則においては、NTT法の3年後の見直し規定があります。メタル固定電話の維持に係る赤字額が年々膨らんでいるNTT東西の在り方について、大臣に見解を問いました。
NTT東西の分離を赤字と今後(2025年5月20日総務委員会)
今回の改正を機に、固定電話の在り方がさらに変化すること、2022年の法改正で新たにユニバーサルサービスに位置付けられたブロードバンドサービスについても確認し、今後の地方を含む通信インフラをどう守っていくか、また公正な競争環境をどう担保するか等、質疑しました。
[質疑項目(電気通信事業法及びNTT法の一部を改正する法律案)]
1.両法の制定過程と改正の経緯[総務大臣、総合通信基盤局長]
・事業法及びNTT法の目的規定
・両法がセットで改正された回数とその概要
2.ユニバーサルサービスの在り方[大臣、局長]
・事業法第7条とNTT法第3条の関係性
・電気通信分野におけるユニバーサルサービス
・電話のユニバーサルサービス
・電話の維持に係るNTT東西の赤字額
・電話の維持に係る費用
・ブロードバンドのユニバーサルサービス
・ブロードバンドのユニバーサルサービス交付金の制度設計
・最終保障提供責務に係るユニバーサルサービス交付金の制度設計
3.通信インフラの維持[大臣、局長]
4.外資規制の在り方[大臣、局長]
5.附則の検討事項[大臣、局長]
6.政省令委任時王の在り方[局長]