吉川さおり 参議院議員(全国比例)

国会質疑録

災害対策特別委員会(2020年8月26日)

2020年9月4日

災害対策特別委員会で質疑に立ちました。

通常国会は延長されることなく6月17日に閉会しており、国会は未だ閉会中の状態にありますが、会期末に閉会中もなお調査を行えることとする手続きをとっているため、当該委員会は開くことができます。

よって、今回の質疑は閉会中の調査という形で開会に至ったものですが、令和2年7月豪雨災害を受けて、参議院は2回目となる閉会中調査(衆院は1回)を行い、私は30分間の質疑に立ちました。

令和2年7月豪雨に関しては、特定非常災害特別措置法(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律)に基づき、7月14日に「特定非常災害」に指定されました。

これに指定されることにより、行政手続きの延長等が認められることになりますが、過去に特定非常災害に指定されている災害は、阪神・淡路大震災や東日本大震災等7災害あり、東日本大震災以降で特定非常災害に指定された災害においては、これまで必ず義援金差押禁止法が全会一致で成立してきました。

よって、特定非常災害の過去例、定義、具体的な指定基準、現在の政府の考え方を確認したうえで、義援金差押禁止法の制定例と対象災害を確認する中で、今般の令和2年7月豪雨も義援金差押禁止法を成立させる必要があること、しかしながら、野党が憲法第53条に基づき臨時会の召集を要求しているにも関わらず、国会が閉会中であることによってのみ、この法律を成立させることができないことを順を追って明確にしました。

冒頭にも記しましたが、閉会中の審議は、会期末に継続調査の議決が行われた場合、当該委員会において行うことができますが、法律案の発議・提出、本会議の招集は行えないため、閉会中に法律を成立させることができません。

その国会を召集する権限は内閣にあります。与党か野党かは関係なく、喫緊の課題や問題の解決のために法律が必要なのです。

今回の質疑において国会を開くべき、と直接的な指摘はしませんでしたが、立法府としては、今回の令和2年7月豪雨が特定非常災害であるにも関わらず、これまでと同様の立法措置が国会が閉会中であることによってのみできないとするのであれば、法の公平性の観点からも疑義が生じることは強く指摘しました。

次に、2008年4月以降、定期的に一貫して質問し続けている災害時の重要な情報伝達手段のひとつである防災行政無線の整備率について問いました。

公表されている整備率と市町村合併効果を抜いた実質の整備率の双方についてです。

なぜなら、公表されている整備率は、A町とB町があってC市になったとします。A町には整備されていて、B町が未整備であってもC市になれば整備済み団体として計上されるため、当然に公表される整備率は実質より高くなるからです。

定期的に確認し続けて、緩やかであっても上昇傾向でしたが、今回、これまでと傾向が異なったため問うたところ、計上する内容を変更していたことが明らかになりました。

これまでの数値との連続性を確保したうえで公表すべきですし、統計に含める内容を変えたなら、そちらを参考値として示すべきと考えます。

これらを一つひとつ確認しましたが、ずっと質問し続けていなければ、計上する内容の変更に気づくことはなかったかもしれません。

おそらく、良かれと思って変更されたものと思います。しかしながら、これまでと内容を変更するのであれば、前提が大きく変わってしまいます。この辺のチェックも立法府たる国会が担う行政監視なのかもしれません。

他には、令和2年7月豪雨で故障や浸水した防災行政無線や自治体庁舎の有無について確認しました。

自治体庁舎の浸水については、昨年11月20日の災害対策特別委員会でも指摘し、国として浸水のおそれがある庁舎を把握していないのであれば早急にすべきではないかと指摘したところ、その後すぐに内閣府防災が調査をしてくださいました。それらの結果を引用しながら問題点と改善点を改めて指摘しました。

最後に、8月21日に正式に内閣府から公表された避難勧告・指示の1本化について、今後の政府の方針とレベル4の分かりにくさ、警戒レベルと警戒レベル「相当」情報の分かりにくさと改善の在り方について政府の見解を質しました。

災害時の情報伝達については、情報が届くこと、その情報の意味が分かること、避難行動を促すことが大事です。

実態把握とその手段の在り方を含め、国民の生命・身体・財産を守るため、これからも取り上げ続けたいと思います。

[質疑項目(災害対策樹立に関する調査)]

1.特定非常災害の指定基準
・過去に特定非常災害に指定された災害
・特定非常災害の定義
・特定非常災害の具体的な指定基準
・特定非常災害の指定について現在の政府の考え方

2. 義援金差押禁止法の制定例と対象災害
・これまでの災害義援金差押禁止法と立法府との関係

3. 災害時における行政機能の確保
・防災行政無線の整備率、実質的整備率
・平成29年3月末、平成30年3月末、平成31年3月末の公表値と実質値の差
・令和2年7月豪雨において浸水により故障した防災行政無線の有無
・令和2年7月豪雨において庁舎が浸水した事例の有無、浸水した自治体における被害状況と浸水対策の実施状況

4.災害時における避難の在り方
・警戒レベルと避難勧告・指示の発令について当面の政府の方針
・警戒レベルと警戒レベル相当情報との関係