吉川さおり 参議院議員(全国比例)
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議会雑感

片道方式(質疑割当時間)

2015年9月14日

本日、9月14日、安保法案を審議するため、参議院特別委員会は、9時から7時間コースで総理・TV中継入り審議が行われています。

これまでの安保法案の審議と違う点が一点あります。何が違うか、というと、質疑時間のカウントが普段の質疑と異なっているのです。

通常、○○議員の質疑時間20分という場合は、質問時間と答弁時間の両方を含みます。よって、政府側の答弁が冗長になると、○○議員は質問時間を冗長な答弁によって奪われた、という解釈も成り立ちます。

本日の特別委員会では、○○議員の質疑時間20分とすると、○○議員の発言時間だけカウントされて、答弁時間は含まれていません。

よって、○○議員が長く発言すると瞬く間に持ち時間を消費してしまいますが、端的に答弁を引き出す質問をした場合は、政府側の答弁がどれだけ冗長になろうとも、○○議員の質問時間は答弁によっては奪われない、という形になっています。

この方式は、参議院予算委員会独特の「片道方式」と呼ばれているものです。

かつて、「衆参予算委員会・質疑時間の違い」というエントリーで、参議院予算委員会独自の質疑方式=「片道方式」について紹介しましたが、答弁時間を含まない考え方で、参議院予算委員会のみで用いられています。

これは、昭和20年代の参議院予算委員会理事会で、質疑時間の割り当ては、答弁時間を含まない「片道方式」とすることが申し合わせにより、決定されたことによります。

なお、参議院予算委員会の公聴会や集中審議については、質問と答弁時間を含む往復方式で行うことも併せて申し合わせがなされています。

これが、現在まで参議院の伝統として引き継がれているのですが、参議院予算委員会以外で、「片道方式」が用いられた例がまったくないのか、といえば、数例、確認することができます。

昭和26年 第12回臨時会「参議院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会」
昭和28年 第16回特別会「参議院労働委員会」
昭和29年 第19回国会 「参議院外務・内閣・大蔵連合委員会」

いずれにしても、「片道方式」は、参議院予算委員会以外で、となると、昭和前半の審議でしか採用されていません。

「片道方式」の質疑は、質疑見込み時間帯が大抵の場合、その通りに進行しないため、なかなか時間が読めませんねぇ。