予算案趣旨説明聴取のタイミング-その1
○参議院委員会先例録68
予算の趣旨説明は、衆議院予算委員会に引き続き同日これを聴くのを例とする
予算の趣旨説明は、衆議院予算委員会に引き続き同日これを聴くのを例とするが、後日聴いた例もある。
平成29年2月1日、衆議院予算委員会では平成29年度予算案の審査が始まりましたが、2月1日の予算委員会では、開会と同時に質疑が始まりました。
つまり、平成29年度総予算案の趣旨説明は既に聴取していたことになります。
先日いただいたご質問の中に、予算案の趣旨説明聴取のタイミングが衆参で同日の場合と異なる場合がなぜがあるのか、とのご質問をいただきましたので、これに対する回答も交えながら、衆議院で予算案審査が終わっていないのに、参議院でも趣旨説明を聴取するのか、についてご紹介したいと思います。
常会が召集されると、最初に行われるのは施政方針演説、いわゆる政府4演説です。
この中には、財務大臣による財政演説が含まれています。予算案は常会の最初に審査されるものであり、予算については日本国憲法第60条に規定があるように、国の根幹をなすものです。
よって、先例等に記載はありませんが、予算案については提出と同時に予算委員会に付託され、国会法第56条の2のいわゆる「吊るし」がつきません。
これらのことから、予算案については衆議院の通過後ではなく、財務大臣による財政演説を聴取する本会議も、予算委員会での趣旨説明聴取も、原則、衆議院と参議院同日に行われることが例となっているのです。
しかしながら、近年、予算委員会における予算案の趣旨説明聴取が、衆参同日に行われない例が増えています。
これは、たとえば、衆議院では委員長職権で予算委員会がセットされた等、一方の院が不正常な状態であるとみなし、参議院で同日に聴取する環境にはないとの判断が働き、同日に行われなかったということです。
ただ、原則、衆参予算委員会で同日に予算案の趣旨説明を聴取するのが例となっている以上、施政方針演説に対する参議院の代表質問が終了するのを待って、参議院の代表質問終了後に衆議院予算委員会、参議院予算委員会を順次開会して、予算案の聴取を行うのが基本的な流れとなっているのです。
