みなし否決の方法
○日本国憲法第59条4項
参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
現在開会中の第189回国会(常会)が大幅延長すると決まった際、「国会の延長-その1~4」まで連載(?)し、「国会の延長-その4」において、いわゆる60日ルール、みなし否決についての紹介をさせていただきました。
ちなみに、先週、強行採決された安保法案は、衆議院を通過したのが7月16日ですから、60日ルールを使うとなれば、9月14日以降、これを行使することができます。
ただ、60日ルールを使い、みなし否決を行使するということは、参議院の議論を無視し、参議院の存在意義そのものを否定することに繋がりかねませんから、行うべきでないというのが、議会人たる私のスタンスです。
でも、そういうルールがある以上、みなし否決が、どのようになされるのか説明したいと思います・・。
みなし否決ができるのは、衆議院の可決した法案を、参議院が受け取った日を含めて60日間を経過した61日目からです。
参議院で審議中であっても、衆議院に「否決したものとみなすべしとの動議」が提出されます。
衆議院本会議で前記動議を可決して、参議院に対して「みなし否決した旨」を通知し、衆議院は参議院から返付議案を受領します。
その後に「直ちに再議決すべしとの動議」を提出し、可決後、返付案(議案)に対して、衆議院本会議で出席議員の3分の2以上の賛成で、「再議決」が完了します。
ただ、再議決を行った場合、参議院の役割はどうなるのでしょう。
参議院は、憲法上認められた二院制の下において、良識の府・再考の府として国民の負託にこたえるために存在していると考えています。参議院の審議を軽視し、数の力で衆議院が再議決することは、参議院の存在意義にまで及ぶ議会制民主主義の問題であると思っています。
