吉川さおり 参議院議員(全国比例)
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議会雑感

国会の延長-その4

2015年6月24日

○日本国憲法第59条4項

参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

第189回国会は、会期を95日間延長し、9月27日までとすることが衆議院本会議で議決され、明日から延長国会です。

これにより、常会における戦後最大の延長幅となりましたが、なぜ、これだけの延長幅を政府・与党が提案したのでしょうか。

昨日の新聞やニュース等で、随分「60日ルール」について報じられましたので、ご存知の方も多いと思いますが、今回は「国会の延長-その○」シリーズなので、書いておきたいと思います。

大幅延長最大の理由は、今後の我が国の在り方を大きく転換することになるであろう束ね法案の成立を期すためであると考えられます。

日本国憲法第59条4項の規定により、参議院に送付され、60日間を経過した法案は、衆議院において、参議院が否決したとみなす、いわゆる「みなし否決」ができることとなっています。

つまり、今後、上記の束ね法案がどのような形であれ、衆議院で採決されるとします。衆議院で採決されれば、当該法案は参議院に送付されます。

ひたらく表現すれば、7月27日までのいずれかの段階で、衆議院本会議で当該法案を採決しさえすれば、参議院での審議を通じて、問題点や論点が明らかになるなどして、仮に審議が滞る結果になったとしても、60日が経てば、衆議院で与党3分の2超の議席を使って再議決すればよいことを意味します。

野党勢力が衆議院に比して大きい参議院が充実審議を求め続け、採決を拒み続けることが仮にできたとしても、日本国憲法第59条4項の規定により、衆議院で採決されてから60日間が経過した時点で、衆議院は参議院が当該法案を否決したものとみなし、再可決することが可能となります。

よって、今回の会期延長幅は、いわゆる「みなし否決」までもを見据えた形で決めた側面があることは否定できないといえるでしょう。立法府に身を置く議会人のひとりとしては、色んな意味で辛いですね。

ちなみに、「みなし否決」は砂防法の審議等で国会が大混乱した、昭和27年・第13回常会での1法案と2法案一括、平成20年・第169回常会「ガソリン国会」の税制関連の国税2法案・地方税3法案、平成25年・第183回常会での衆議院小選挙区改正の公職選挙法以外にはありません。