現在の院の構成における問題点-その2
○衆議院規則第38条
(前項略)委員長に事故があるときは、理事が委員長の職務を行う。
○参議院規則第31条
(前項略)委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、理事がその職務を行う。(以下略)
10月初旬の内閣改造を経ながら、長期間国会が開かれないことの問題点について、院の構成という観点から、前回は、立法権である国会と行政権である内閣、双方に立場を持つという、本来あってはならない事例を紹介しました。
今回は、この問題が、委員長だけにとどまらないという観点から、事例を紹介したいと思います。
ついでに紹介しますと、常任委員長が欠けている期間は、平成に入ってから最長記録です。なんともはや・・。
上記で紹介した、衆参両院の議院規則は、委員長に事故があるとき、もしくは欠けたときの事態について規定しています。つまり、委員会を代表する委員長に事故があるとき等は、理事が委員長代理として、その職務を行うとするものです。
さて、現在は、常任委員長が欠けているのみならず、委員会の理事についても欠けている事例が散見されます。
これは、衆参によって、多少傾向が異なります。
なぜならば、衆議院の現在の定数は475ですが、参議院の現在の定数は242です。他方で、国会法第41条の定めにより、常任委員会の数は、衆参ともに同数の17委員会です。
つまり、衆参両院の議員定数には2倍近くの差がありながら、常任委員会の数は同一です。つまり、一委員会あたり、常任委員長は一人であっても、理事の配分は、衆議院より参議院が小さくなります。
たとえば、衆議院の常任委員会の与党理事が5人だったとしても、参議院の場合は2人、という具合です。
そこで、本題に戻ります。
参議院の常任委員会においては、10月の内閣改造により、与党理事全員が政府入りしたことにより、与党理事が誰もいない状態になってしまった委員会がありました。
現在も、幾つかの委員会で閉会中審査が行われていますが、委員会を開会するためには、与野党の筆頭理事による、いわゆる筆頭間協議が重要となります。
にもかかわらず、その時点では理事がいないため、理事予定者が理事の代理をしたものの、充分な事前協議ができず、結局、予定された時刻に委員会が開会できない事態に陥るなど、混乱がありました。
もちろん、閉会中といえど、委員会を開会すれば、理事は選任できますが、委員会開会に向けての協議時点で理事が不在だったことは動かし難い事実であり、それが十分に機能しなかったのであれば、院の構成を確定させるためにも、内閣改造から日を置かずして、臨時会はやはり召集されるべきだった、といえるのではないでしょうか。
(例外として衆議院議院運営委員会の理事は、閉会中委員会を開かなくとも選任可能)
