吉川さおり 参議院議員(全国比例)
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議会雑感

附帯決議とは

2015年9月9日

前回のエントリーでは、初めてコメントを受け付けました。

激励のメッセージを複数いただき、本当にありがとうございました。とても嬉しいですし、励みになります。

また、昨日、9月8日に参議院厚生労働委員会で修正可決された法案の扱いに関するご質問等を頂戴しましたので、下記にその回答も含めてみました(他のご質問に関しては別エントリーで改めて紹介します)。

ちょっと長くなりますが、今回は、附帯決議と法律案の回付について紹介します。

附帯決議とは、委員会に付託された案件の採決の際に行う当該法律案等について、所管行政機関=省庁等に対する要望、運用上の注意等を内容とするものです。

本案=法律案に附帯して行われるため、附帯決議と言われています。

附帯決議の採決は、一般的に本案=法律案採決の直後、委員長から「○○君から発言を求められておりますので、これを許します。○○君」と発言があり、委員長から許可を受けた議員が、附帯決議の案文を朗読した後、採決を行います。

これまでは、野党第一党が賛成する法案に対して、附帯決議を付すことが多かったのですが、最近は、野党第一党が反対する法案に対しても、与野党間で合意が得られれば、附帯決議を付すケースも多く見受けられるようになってきました。

立法権=国会として、附帯決議を付すメリットは、各法律案を執行する際、政省令や通達等で所管の行政機関が注意を払うことへの理解が進むことが挙げられます。

法案に強く反対する野党の立場としても、国会は「数は力、数の力」であり、最後は数の力には叶いません。

よって、野党の立場からすれば、主張を少しでも行政権に取り入れさせるために、附帯決議は重要であると言えるのです。

会議録-番外編」でも取り上げたとおり、速記がよく止まっていた労働者派遣法改正案を審議している参議院厚生労働委員会は、9月8日、同法案の採決を行いました。もちろん、野党は反対です。

採決までには、動議が提出されたり、休憩と理事会を挟んだり、と紆余曲折ありましたが、野党欠席の中、強行採決するのではなく、野党も出席したうえで、各党が反対討論を行った後、採決し、附帯決議を付すこととなったのです。

附帯決議は、なんと39項目。案文朗読だけで35分間を要しました。もちろん、過去最高の項目数です。

さらに言えば、既に過ぎている法の施行日について日付を改めるだけの単純修正だけではなく、野党が要求した他の項目も修正となりました。

後議の院=参議院で修正が加えられましたので、本法律案は先議の院=衆議院に回付されることとなります。

というわけで、今回は、平成に入って以降、参議院の常任及び特別委員会において附帯決議の項目数が多かった事例を紹介します。

39項目:平成27年 第189回国会 労働者派遣法(厚生労働委員会)
34項目:平成21年 第171回国会 消費者庁設置法案等3案(消費者問題に関する特別委員会)
28項目:平成24年 第180回国会 原子力規制委員会設置法等(環境委員会)
27項目:平成25年 第185回臨時会 国土強靭化基本法(災害対策特別委員会)
24項目:平成17年 第162回国会 介護保険法(厚生労働委員会)