会期不継続の原則(の例外)-その4
3年ほど前、国会法を引用して、会期不継続の原則とその例外とは何かについて紹介しました。
継続審査(閉会中審査)の手続きは、衆議院と参議院で異なっています。
衆議院では、議院運営委員会で吊るされたままでも継続にすることができますが、参議院では委員会付託したもののみ継続することができます。
平成30年7月22日に閉会した第196回国会で参議院では、「水道法の一部を改正する法律案(閣法第48号)(衆議院送付)」が、内閣提出法律案で継続審査となりました。
反対会派もある中でしたが本法案は厚生労働委員会に付託され、厚生労働委員会と本会議で採決され、多数をもって参議院で継続審査となりました。
本法案は、衆議院は通過しているものの、参議院でその会期内に審議が終わらなかったという状態です。
参議院に送付された法案が参議院で継続審査になった場合、次国会、参議院で審議のうえ、衆議院に送付する必要があります。そして、衆議院でも本会議の採決が必要となります。
というわけで、このような場合、衆議院の厚生労働委員会で質疑終局にとどめて、敢えて参議院に送付しないで衆議院で継続にする、という選択肢が往々にして考えられるだけに、今回、個人的には色々不可解です。
第196回国会における参議院先議法案「医療法及び医師法の一部を改正する法律案(閣法第60号)」の審査を後回しにしてまで、衆議院で水道法改正案の審査をしているので、余計にそう思ってしまうのかもしれません。
参議院先議法案の意味合いから考えれば、当初会期内におさめるべく衆議院で審議されて然るべきですし、会期延長になったとしても、別の閣法審議より優先されるべきだと個人的には考えるからです。
で、ここからは余談です。
参議院先議法案が、参議院で審議のうえ、衆議院で継続となった場合も同様ですが、この場合成立した法案は、今までに15法案しかありません。
(参考)
「会期不継続の原則-その1」平成27年5月12日
「会期不継続の原則(の例外)-その2」平成27年5月13日
「会期不継続の原則(の例外)-その3」平成27年8月11日
「衆参のちょっとした違い(閉会中審査・継続審査-その1)」平成28年6月26日
「衆参のちょっとした違い(閉会中審査・継続審査-その2)」平成28年6月28日
