吉川さおり 参議院議員(全国比例)
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議会雑感

国会事務局-その4

2016年6月10日

○国会法第43条

常任委員会には、専門の知識を有する職員(これを専門員という)及び調査員を置くことができる。

国会事務局-その1」では、議会制民主主義が所与のものではないこと、数えきれないほどの多くの先人がその実現を目指して奔走した結果、勝ち取ってきたものであることを紹介するとともに、国会事務局は、その議会制民主主義を支えることを使命としていることを紹介しました。

同時に、国会事務局は、運営面から本会議・委員会をサポートする会議運営部門、内容面からサポートする調査部門、院の活動を多角的にサポートする総務部門の3部門で成り立っていることも併せて紹介しました。

今回は、調査部門、特に国会法第43条に規定されている専門員について触れたいと思います。

調査部門のうち、常任委員会調査室の室長=専門員は、専門の知識を有する職員がその職責にあたり、委員会の会議録にも事務局側の出席者として、「常任委員会専門員○○○○君」として記録が残ります。

ちなみに、特別委員会調査室の室長の場合は、会議録に事務局側出席者として掲載されますが、「特別調査室長○○○○君」であり、専門員としての表記はありません。

専門員は、立法府たる国会の機能を高めるため、国会法上も明確に位置づけられており、その人事は議院運営委員会で扱われてきましたが、今は議院運営委員会理事会(秘密会)で扱われるのみです。

衆議院において議院運営委員会で「事務局の人事承認の件」として最後に扱われたのが、昭和57年12月24日。参議院においては、「常任委員会専門員任用の件」として、昭和58年12月26日が最後となっており、会議録で専門員人事の記録を辿れるのは衆参通じて昭和58年までです。

国会法上、その職責を明記されている国会職員は、「事務総長」と「専門員」のみです。

事務総長は、院の会議、つまり本会議で選任されますから、もちろん会議録に記録が残ります。事務総長と同様、国会法に明記されている専門員の人事も、会議録に記録が残る議院運営委員会で扱うべきではないでしょうか。

追記:国会職員として、調査員として、矜持と誇りを持って長年ご活躍された、とある専門員の方のご冥福を心からお祈りしています。