吉川さおり 参議院議員(全国比例)
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議会雑感

慎重審議(続報)

2015年7月11日

先日、「逐条審議」とは何か、を紹介した続編として、今通常国会でとられている「慎重審議」について、現状とその内容をお伝えしました。

この審議について、珍しい場面がありましたので、私自身の備忘録を兼ねて記しておきたいと思います。

衆議院法務委員会は、現在「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」を審議中です。

ただ、この法案は、このブログで何度も取り上げている、いわゆる「束ね法案」です。

詳細は、「慎重審議」のエントリーをご覧いただけると幸いですが、本法律案は、司法取引制度の導入や通信傍受制度の大幅変更など、重い改正内容を含む6法案を1本に束ねて立法府である国会に提出されています。

よって、立法府として衆議院法務委員会は、改正内容を4つのテーマに分けることで、慎重審議をしています。

4つのテーマとは、
・取調べの録音・録画制度の創設について
・証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度等の創設について
・裁量保釈の判断に当たっての考慮事情の明確化及び証拠開示制度の拡充について ←イマココ
残りは、
・通信傍受制度について が予定されています。

それぞれのテーマごとに、対政府質疑→参考人質疑(視察)→対政府質疑が行われています。

前回のブログは7月4日(土)にアップしましたが、その後、衆議院法務委員会は、7月7日(火)、7月8日(水)、7月10日(金)と開会され、3つ目のテーマである「裁量保釈の判断に当たっての考慮事情の明確化及び証拠開示制度の拡充について」の質疑が行われているところです。

具体的に見てみます。

平成27年7月7日
裁量保釈の判断に当たっての考慮事情の明確化及び証拠開示制度の拡充について(対政府質疑)

平成27年7月8日
裁量保釈の判断に当たっての考慮事情の明確化及び証拠開示制度の拡充について(参考人質疑

平成27年7月10日
裁量保釈の判断に当たっての考慮事情の明確化及び証拠開示制度の拡充について(参考人質疑+対政府質疑)

なかでも興味深いのが、7月8日と7月10日の委員会、ともに参考人質疑を行っている点がひとつ。もうひとつは、7月8日の参考人質疑では、参考人が4人なのですが、7月10日では、参考人がたった1人だったのです。

昨日の委員会だったこともあり、衆議院法務委員会ニュースの発行もまだですが、とても興味深いため、衆議院インターネット審議中継で確認しました。やはり、参考人は1人のみ。

先例をちゃんと調べてみないと確たることは申し上げられませんが、私の知る限り、参考人質疑は、少なくとも2人以上です。

なぜならば、「参考人とは」と「今日の衆議院憲法審査会」のエントリーで触れましたが、参考人は、与野党ぞれぞれ推薦で選ぶ場合が多いので、そうなると与党枠1人、野党枠1人ということになり、最少でも2人となるからです。

昨日の衆議院法務委員会は、参考人1人が意見陳述をし、各会派がその1人対して質疑を行いましたが、与野党間で法案に対する課題意識が醸成されており、内容ある参考人質疑だったのではないかと捉えています。

審議されている「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」は、重要広範議案ではありませんが、それを上回る質疑がなされており、立法府の議論として、ひとつの形を示しているような気がしてなりません。

引き続き、議論の行方を興味深く見守っていきたいと思います。