衆議院の解散-その1
○日本国憲法第7条
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
三 衆議院を解散すること。(一~二、四~十は略)
○日本国憲法第54条2項
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
○日本国憲法第69条
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
衆議院の解散は、天皇の国事行為として解散詔書をもって行われ、衆議院に伝達されるとともに一般に公布されます。
衆議院解散の決定は、内閣が行います。
なお、衆議院が解散されたときは、内閣は、政府声明又は内閣総理大臣談話の形式をもって、解散の理由を発表するのが例となっています。
また、衆議院が解散された時は、参議院は同時に閉会となり国会の会期は終了することとなっています。
衆議院を解散できる場合について、憲法は第7条で
「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。三 衆議院を解散すること。」と規定するのみで、制限はありません。
憲法第69条は、
「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」と規定していますが、これは不信任決議案可決、信任決議案否決の場合に、衆議院の解散か、内閣の総辞職か選択すべき旨を規定しているのみで、衆議院の解散は、これらの場合に限られないと解されています。
よって、衆議院の解散は、内閣が実質的決定権を持っており、これをいかなる場合に行うかについて制限はありません。
ただし、
(1)内閣と国会が、特に衆議院で争われている重要な政策問題について国民の判断を問う必要がある時
(2)現在の衆議院が、国民の意見を代表していないと考えられる正当な理由がある時
などに衆議院の解散が行われるものであって、内閣の恣意によってなされるべきではありません。
