冒頭解散と総理発言
衆議院の解散とは、衆議院議員の任期である4年満了前に、衆議院議員全員について、議員の身分を失わせることです。
衆議院議場で解散詔書が朗読され、議場から退出するとき、すでに「前」衆議院議員なのです。
では、解散の本来の目的とは何でしょうか。
現在における重要な政治課題への行政権である内閣の取り組みについて、国民の信を問い、国民の意思を衆議院の構成に反映させることにあるのではないでしょうか。
憲法第53条の規定に基づき、野党4党から臨時会の召集要求が3か月前に出されている中、しかも、第193回国会閉会翌日の平成29年6月19日、行政権の長である内閣総理大臣は、記者会見でこう発言されています。
「何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく。
先週も調査結果の発表後に予算委員会の集中審議に出席いたしましたが、4年前の原点にもう一度立ち返り、建設的な議論を行い、結果を出していく。そうした政治が実現するよう政権与党としての責任を果たしてまいります。
国民の皆様から信頼が得られるよう、冷静に、一つ一つ丁寧に説明する努力を積み重ねていかなければならない。その決意をこの国会の閉会に当たって新たにしております。」
憲法の規定に基づき、その召集が義務付けられている臨時会に3か月経って応じたと思ったら、黙して語らず冒頭解散。
衆議院解散の決定権は、行政権である内閣にあります。
立法権たる国会に対し、二重の側面で一言も発言なく衆議院解散とは、「国会軽視ここに極まれり」ではないでしょうか。
(参考)
「臨時会の召集-その1」 平成27年11月27日
「国会の召集-その1」 平成27年12月22日
「公示と告示の違い」 平成28年4月12日
「衆議院の解散と参議院の緊急集会-その1」 平成28年5月25日
